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外為マーケットコラム

トランプ・ラリーにまだ終息見えず

 ドル・円は15日に1ドル=118.67円と2月3日以来の水準へ急伸。チャート上(週足ベース)では、一目均衡表の雲の上限を突破し、昨年の高値から今年の安値までの下げ幅に対する61.8%戻し相当(115.60円)も大きく上抜き、120円台突入が視野に入ってきている。10年で1兆ドルのインフラ投資や法人税の大幅な引き下げ、企業が海外で稼いだ資金の本国送還(リパトリエーション)に対する減税など政策への期待感や、先行きのインフレリスクなどが好感されるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が来年の利上げ回数見通しを3回に引き上げたことで米債利回りが急伸し、主要6通貨に対するドル指数も14年ぶりの高値圏へ上昇している。心理的な行きすぎ感は強いものの、トランプ・ラリーにまだ終わりが見えてこないなか、しばらくはドル独歩高が進む可能性は高そうだ。
 イエレンFRB議長が14日の連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の記者会見を行っている時間帯に、トランプ次期大統領はニューヨーク5番街のトランプタワーの25階の会議室でアップル社などテクノロジー関連企業のトップを集めて話し合いを行っていた。政権移行期にあるなか、次期大統領は人事固めや経済政策を優先しているが、今起きている急激なドル高進行は、製造・輸出関連企業の業績に大きく影響してくるだけに、懸念要因で間違いない。トランプ氏は中国の為替操作を非難しているが、来年1月20日の大統領就任式までにドル高への懸念をつぶやくかもしれず、さらなるドル高には警戒が必要だろう。

【3回の利上げに懐疑的】
 FRBは13〜14日開催のFOMCで、政策金利となる短期金利の指標となるフェデラル・ファンド(FF)レートの誘導目標水準を0.50〜0.75%と、従来から0.25%引き上げた。利上げは1年ぶり。声明文によると、インフレ期待が著しく上昇したことや、労働市場のひっ迫などが背景とのこと。また、来年は3回の利上げを予想し、9月時点の2回の予想から引き上げ、2018年も3回の利上げを見込んでいる。
 9年半ぶりの利上げに踏み切った1年前のFOMCでは、2016年は4回の利上げが予想されていた。しかし、中国経済の減速や新興国市場からの資金流出などで世界景気が失速し、年末にやっと1回の利上げにたどり着いたといった具合で、来年の3回の利上げ見通しもトランプ・ラリーの与える国内外経済への影響や今後の指標を見極める必要がある。ドル高や金利上昇が実体経済に悪影響をもたらす恐れがあることや、年が明けたらトランプ政策が期待外れとなる可能性もあり、現時点では3回の利上げには懐疑的。16日時点のCMEグループのフェドウォッチによると、来年6月に追加利上げされる可能性は51%、その次は9月で35%、12月は30%前後で据え置きか利上げかで拮抗している。

【行きすぎた株高を警戒】
 トランプ氏の米大統領選勝利後、世界的な資金の流れが一変している。市場は期待先行の部分がかなり大きいものの、11月の米消費者物価指数(CPI)は前年比で2年ぶり、12月のニューヨーク連銀製造業景気指数は4月以来、12月のフィラデルフィア地区連銀製造業景気指数は2年ぶり、12月の米住宅市場指数は2005年7月以来の高水準となり、引き続き足元の経済指標の改善が目に付き、景気の先行きに楽観的なムードが広がっている。
 資金は債券や金などの安全資産から株式などへのリスク資産へ向かい、長期金利の指標となる10年物米債利回りは15日に2014年以来となる2.6%台に乗せた。欧州中央銀行(ECB)によるテーパリング(量的緩和の縮小)の可能性が浮上していることや、日本銀行は量的緩和から金利政策に軸足を移しており、世界的に債券市場は売り圧力にさらされている。金も不確実性の高まりから来年は1,400ドル超えが見込まれていたが、この1カ月間は急落しており、1,100ドルを割り込む不安さえある。
 一方で、大統領選後のダウ工業株30種平均は、13日まで終値ベースで最高値を16回更新。財務長官に元ゴールドマン・サックス・グループ幹部のスティーブ・ムニューチン氏、商務長官に富豪投資家ウィルバー・ロス氏、国務長官に石油大手エクソンモービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏、労働長官にはファストフードチェーンを展開するアンドリュー・パズダー氏、環境保護局(EPA)長官にオクラホマ州のスコット・プリュット司法長官を指名するなど、ビジネス界のリーダーや、オバマ政権が進めた規制強化に反対する人選となっていることも株式相場の上昇に一役買っている。
 来年も株高・債券安(利回り上昇)の流れが続くとの見方は多く、株式市場にはユーフォリア(陶酔感)が満ちているものの、来年の株式相場に対し慎重な見方も根強い。高すぎる株価を理由に期待したリターンが望めそうもなく、来年に高値から少なくとも10%程度の調整があってもおかしくはないとの声がある。新政権は3%を超える経済成長を目標とするなか、FRBは緩やかなペースでの利上げに徹するだろうが、物価上昇圧力の強まりや、金利上昇による住宅市場の減速などが見込まれ、米経済が3度の利上げに耐えうることができるかどうかは不透明で、行きすぎた株高の反動が警戒される。

【大企業製造業の景況感が改善】
 日本銀行が14日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス10と、9月短観時のプラス6を上回り、昨年6月短観以来の改善となった。11月の米大統領選挙でトランプ氏が勝利した後、急速な円安・株高が進行していることなどが影響したもよう。先行きはプラス8とやや悪化する見通しで、市場予想のプラス9を下回った。また、大企業・非製造業のDIはプラス18と9月短観時と変わらずも、先行きはプラス16とやや悪化する見通し。年明けに発足する米国の新政権の影響を見極める必要がありそうで、日本企業の先行きに慎重な姿勢がうかがえるも、米国内からは少なくとも来年前半はトランプ政権への期待感が続くとの見方が広がっている。
 日銀は19〜20日に金融政策決定会合を開くが、現状の金融政策が維持される見通し。12月短観で企業の景況感が改善したことに対する影響などはないとみられ、足元の円安・株高、原油高など居心地の良い環境に変化しており、何もしないのも政策のうちだろう。


【NYマンハッタンのユニオンスクウェアでのクリスマスイベント】

【主要経済指標・イベントレビュー】
13日
独消費者物価指数(CPI)改定値(11月)
:前月比+0.1%、前年比+0.8%
独生産者物価指数(PPI、11月)
:前月比+0.1%、前年比+0.8%
独ZEW景況感指数(12月)
:13.8
英CPI(11月)
:前月比+0.2%、前年比+1.2%

14日
10-12月期・日銀短観
:大企業製造業DIはプラス10
英雇用統計(11月)
:失業率(ILO方式)は4.8%
米小売売上高(11月)
:前月比+0.1%、自動車除くは前月比+0.2%
米PPI(11月)
:前月比+0.4%、コアは前月比+0.2%
米鉱工業生産(11月)
:前月比+0.4%
FOMC
:政策金利を0.50-0.75%に引き上げる

15日
ユーロ圏総合PMI速報値(12月)
:53.9
英中銀金融政策委員会
:政策金利0.25%、資産購入規模4350億ポンドに据え置く
米CPI(11月)
:前月比+0.2%、コアは前月比+0.2%
NY連銀製造業景気指数(12月)
:+9.00
フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数(12月)
:21.5

16日
ユーロ圏消費者物価指数改定値(11月)
:前年比+0.6%
米住宅着工件数(11月)
:前月比-18.7%の109万戸

【12月19日からの週の注目ポイント】
19日
独IFO企業景況感指数                    ☆☆
イエレンFRB議長、講演                   ☆☆☆

20日
日銀金融政策決定会合(19-20日)              ☆☆☆

21日
ユーロ圏消費者信頼感速報値(12月)              ☆☆
米中古住宅販売件数(11月)                  ☆☆

22日
7−9月期・米GDP確定値                  ☆☆☆
米耐久財受注(11月)                     ☆☆
米個人所得・消費支出(11月)                 ☆☆
米景気先行指数(11月)                    ☆☆

23日
日本市場は休場 7−9月期・英GDP確定値                  ☆☆☆
米新築住宅販売件数(11月)                 ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数確報値(12月)          ☆☆

*重要度を3段階で表示

2016年12月19日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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