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外為マーケットコラム

ドル・円相場は徐々にレンジを切り下げへ

 ドル・円は3日に1ドル=118.61円へ上昇するも昨年12月15日に付けた10カ月ぶり高値(118.67円)を一気に上抜けず、6日には115.07円と3週間ぶりの水準まで下落し、2017年は値動きの荒いスタートとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)が4日に公表した昨年12月13〜14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、引き続き緩やかな利上げペースを支持する姿勢が示されたことや、中国の大規模な人民元押し上げ介入観測、米債利回りの大幅な低下などが背景にある。昨年末のクリスマスを前後して市場のムードが微妙に変化している。トランプ氏の米大統領選勝利後に急速に進んだドル高に対する修正が起きており、ひとまず潮目が変わった感が強い。チャート上では、14週間の相対力指数(RSI)は昨年12月半ばに72と半年ぶりの水準へ上昇した後は低下し続けており、当面の天井を打った可能性は高そうだ。一目均衡表のレンジ上限を大きく上抜いたままだが、再び120円を試すような展開となるには目新しい支援材料が必要だろう。
 トランプ氏は11日にニューヨークで記者会見を開く予定で、20日には米大統領就任式を控えている。トランプ氏が公約に掲げた政策への期待感が金融市場全般を覆っているものの、今後は打ち出してくる政策の精査が必要になることや、今以上に市場の楽観ムードを強めるような新たなものが出てくる可能性は極めて低く、市場は徐々に現実モードへと転換していくのではないかと思われる。次に何をやってくるかわからないトランプ次期米大統領そのものがリスクとなる可能性は十分に考えられるところで、ドル・円は徐々に115円前後へとレンジを切り下げていくものとみる。

【足元の米指標は強弱まちまち】
 昨年10〜12月期の米経済成長は、2年ぶりの高い伸びとなった前四半期から鈍化しそうだ。トランプ氏の米大統領選勝利後は期待感の広がりなどから、先行きの楽観ムード一色となり、ユーフォリア(陶酔)状態にあるものの、足元の経済指標は強弱まちまち。
 昨年12月のISM製造業景況指数は54.7と4カ月連続して前月を上抜き、2年ぶりの高水準となった。項目別でみると、生産指数は2014年11月以来の高水準となり、新規受注指数は4カ月連続して上昇。仕入れ価格指数は前月比11ポイントも急上昇し、2011年6月以来の高水準となり、雇用は前月から改善した。また、非製造業景況指数は前月から横ばいも、2015年10月以来の高水準を維持。景況指数と雇用指数は2015年10月以来となった前月から低下したが、新規受注指数が前月から大きく上昇したことが寄与した。
 一方、6日に発表された昨年12月の米雇用統計によると、失業率は4.7%と前月の4.6%から上昇。非農業部門雇用者数は15万6,000人増と市場予想(17万5,000人増)を下回った。前月は20万4,000人増と速報値の17万8,000人増から上方修正された。給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートから前日に発表された昨年12月の米民間部門雇用者数は15万3,000人増と、前月の21万5,000人増を大きく下回った。失業率は完全雇用に近い水準で推移しているものの、2016年の雇用者増加数は220万人と、前年の270万人を大きく下回った。
 雇用拡大ペースが大きく鈍化するなか、トランプ次期大統領の保護主義色が強まり、恫喝とも言える大企業いじめで製造業などの国内回帰の動きが続きそうななか、先行きの雇用情勢が大きく改善していくかどうか見極める必要がある。米連邦準備制度理事会(FRB)は、財政拡大見通しにより、経済成長予測に対する上振れリスクが高まったと指摘しているが、現時点では政策期待以外に何の根拠も示されておらず、期待が失望に変われば、金融政策にも影響が出てくるだろう。原油高による物価上昇圧力は強まっているものの、インフレ指標として当局が重要視する個人消費支出(PCE)価格指数の伸びは鈍いままで、現時点では年3回の利上げ予想はかなり無理があるように思えて仕方がない。

【ユーロ圏のインフレ加速でECBの政策に影響も】
 独連邦雇用庁が3日に発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.7%上昇。前月(0.8%上昇)からペースが急加速し、前年同月比では過去最大の伸びとなり、2013年7月以来の高水準となった。内訳では、食品が2.5%上昇と前年同月の1.2%上昇から急加速し、エネルギーが2.5%上昇と2.7%低下からプラスに転じたことで、モノ全体は1.8%上昇と0.5%上昇から大きく上昇した。また、欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)から4日に発表された昨年12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比1.1%上昇と2013年以来の高い伸びとなった。ドイツ同様にエネルギーが2.5%上昇と前月(1.1%低下)から大きく転じ、1年ぶりのプラスとなり、食品・アルコール・たばこも1.2%上昇と前月(0.7%上昇)を大きく上回ったことが寄与した。昨年11月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)も前年同月比0.1%上昇と、2013年以来のプラスに転じた。
 一方、昨年12月の独失業者数は1万7,000人減と市場予想(5,000人減)を大幅に上回り、労働市場が一段と拡大。昨年11月の独製造業新規受注と小売売上高指数は前月の高い伸びの反動が出たものの、ドイツ経済の先行きは楽観的なムードに包まれている。IHSマークイット発表の昨年12月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)改定値は54.4と速報値(53.9)から上方修正され、2011年5月以来の高水準となった。スペインが6カ月ぶり、ドイツが5カ月ぶり、フランスが18カ月ぶりの水準に上昇し、ドイツの昨年10〜12月期の総合PMIは2014年第2四半期以来の最高となる見通し。IHSマークイットのエコノミストによると、新規受注の増加により事業活動は堅調で、雇用増加も維持されている一方、今年はインフレが高まる可能性があり、投入コストの伸びは2012年3月以来の大幅なものとなり、サービス・製造業部門の生産価格はともにほぼ5年半ぶりの高水準にあると警告。
 ユーロ圏の製造業とサービス業の景況感が大きく改善し、雇用情勢も堅調に推移し続けるなか、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国の15年ぶりの協調減産合意を受け、原油価格が上昇していることがユーロ圏の物価上昇圧力を押し上げている。欧州中央銀行(ECB)の目標とする2%弱の水準にはまだ届かないものの、先行きの原油高が見込まれていることから、インフレペースが一段と加速する可能性がある。バイトマン独連銀総裁は昨年末に政策引き締めを2019年まで待てば手遅れになると警告しており、ECBの量的緩和政策が早期に転換を迫られる可能性が出てくるかもしれない。


【歩いても渡れるNYの人気スポットのブルックリンブリッジ】

【主要経済指標・イベントレビュー】
3日
独雇用統計(12月)
:失業率は6.0%、失業者数は1万7000人減
消費者物価指数(CPI)速報値(12月)
:前年比+1.7%
米ISM製造業景況指数(12月)
:54.7
米建設支出(11月)
:前月比+0.9%

4日
独総合PMI改定値(12月)
:55.2
ユーロ圏総合PMI改定値(12月)
:54.4
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(12月)
:前年比+1.1%
FOMC議事録
:緩やかな利上げペースが適切と判断、大半が利上げ加速の必要性

5日
ユーロ圏生産者物価指数(11月)
:前月比+0.3%、前年比+0.1%
米ADP雇用統計(12月)
:15万3000人増
米週間新規失業保険申請件数
:23万5000件
米ISM非製造業景況指数(12月)
:57.2

6日
独製造業新規受注(11月)
:前月比-2.5%
独小売売上高指数(11月)
:前月比-1.8%
ユーロ圏小売売上高(11月)
:前月比-0.4%
米雇用統計(12月)
:失業率は4.7%、非農業部門雇用者数は15万6,000人増

【1月9日からの週の注目ポイント】
9日
独鉱工業生産(11月)                     ☆☆
ユーロ圏失業率(11月)                    ☆☆

10日
中国消費者・生産者物価指数(12月)              ☆☆

11日
英鉱工業生産指数(11月)                   ☆☆
米貿易収支(11月)                       

12日
日本国際収支・貿易収支(11月)                ☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(11月)                  ☆☆
米週間新規失業保険申請件数                 ☆☆
米輸入物価指数(12月)                     

13日
米小売売上高(12月)                    ☆☆☆
米生産者物価指数(12月)                   ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(1月)           ☆☆
*重要度を3段階で表示

2017年1月10日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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