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外為マーケットコラム

政策期待のドル高局面は終了

 ドル・円は12日に一時、1ドル=113.76円と1カ月ぶりの水準へ急落。年明け3日に3週間ぶりの高値(118.61円)を付けた後は修正へと転じるなか、市場の注目が集まった11日のトランプ次期米大統領の記者会見を受け、トランプリスクを警戒するムードが広がったことが背景にある。トランプ次期米大統領は、経済政策などへの具体的な言及は一切しなかったかわりに、一部メディアを嘘つきよばわりし、記者と激しく言い合い、選挙戦さながらの醜態を見せつけてしまい、市場は現実に引き戻されてしまっている。
 20日には米大統領就任式を迎え、経済などの政策の具体的な中身がより明らかになってくるだろうが、選挙戦での公約はあくまでも選挙に勝つためであり、大幅な減税や巨額な財政支出などの規模がスケールダウンしてしまう可能性は高そうだ。トランプ次期米大統領は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げており、保護主義的な発言が一段と強まることも警戒される。日本の対米直接投資の規模が他国をはるかに上回っていることや、企業の現地生産化で雇用を促進しているといった事実なども、自己の優位性を誇示したいトランプ次期米大統領にとっては不均衡さの是正こそが何よりも大切なようだ。
 昨年の米大統領選後の先行きの読みにくい状況は何一つ変わっておらず、引き続きトランプ次期米大統領の発言次第で相場が乱高下してしまう公算は大きい。ただし、政策期待を背景にドル高が進む局面はすでに終了したとみられ、120円方向へのドル高・円安は次のステージ待ちとなろう。1日で3円も動く荒い展開が見られるだけに、目先は昨年の米大統領投票日の翌日の安値(101.20円)から昨年12月15日に付けた10カ月ぶり高値(118.66円)までの上昇幅に対する3分の1相当(112円台後半)や、半値戻し相当(110円)まで下げてしまう可能性もありそうだ。

【日米貿易摩擦懸念強まる】
 財務省が発表した昨年11月の国際収支状況(速報)によると、貿易収支は3,134億円の黒字。前月は5,876億円の黒字だった。輸入の減少が輸出の減少を上回ったため、前年同月比では6,175億円増加し、黒字に転じた。輸出は5兆8,904億円と前年同月比0.8%下回り、15カ月連続して減少した。輸入は5兆5,770億円と前年同月比10.7%下回り、23カ月連続して減少。また、昨年11月の経常収支は1兆4,155億円の黒字となり、29カ月連続して黒字となった。前年同月では3,095億円の黒字拡大。第1次所得収支の黒字幅縮小も、貿易・サービス収支が第1次所得収支を大幅に上回る黒字に転じたことが寄与した。
 トランプ次期米大統領は11日の記者会見で、貿易赤字削減を目指す方針を表明し、不当な貿易相手国として中国、メキシコとともに日本を名指しした。次期政権の主要閣僚も貿易赤字削減が経済成長を押し上げるとの見方をしており、日米間の貿易摩擦が強まることへの懸念が現実となれば、ドル・円を押し下げることとなりそうだ。

【米当局者から3回の利上げ支持続く】
 米連邦準備制度理事会(FRB)は、トランプ次期政権の財政刺激策に伴って経済成長が上振れるリスクがあるとし、今年は3回の利上げを見込んでいる。足元の経済指標をみると、すでに物価圧力は強まっている。昨年12月の米雇用統計での平均時給は前年同月比2.9%増加と、2009年6月以来で最大の伸びとなった。昨年11月の消費者物価指数は4カ月連続して前月を上回り、前年同月比では1.7%上昇と過去2年間で最大の伸びを示した。失業率は4.7%と完全雇用に近い水準にあり、長期的に持続的可能と見込まれていることや、石油輸出国機構(OPEC)の減産などでエネルギー価格の一段の上昇が予想されるなか、FRBの2%の物価上昇目標を上抜くのは時間の問題なのかもしれない。
 このようななか、米当局者からも3回の利上げを支持する声が聞かれる。ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は9日、利上げペースを速めなければインフレ進行リスクが増大するとの見方を示した。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は12日、今年か来年に2%の物価目標を達成するだろうとし、今年は緩やかな3回の利上げを想定していると再表明。ダラス連銀のカプラン総裁も同日、財政刺激策を考慮していないものの、今年の経済成長は2%を超え、年内3回の利上げ見通しが適当と述べた。
 一方、セントルイス連銀のプラ―ド総裁は12日、CNBCとのインタビューで、年内1回の利上げ見通しに変更はないとし、トランプ政策が年内に大きな影響を与えるとはみていないとの見方を示した。政策が実行に移されるまでには時間がかかることや、トランプリスクが世界経済に悪影響を与えるかもしれず、先行きは不透明なままだ。

【英ポンドが2カ月ぶり安値】
 英ポンドは9日、対ドルで2カ月ぶりに1.22ドルを割り込み、11日には一時、1.20ドル台前半と昨年10月7日以来の安値を付けた。ポンドは対ユーロ、円でも切り下がっている。
 欧州連合(EU)への離脱通知期限が3月末に迫り、3日に離脱交渉を担当するはずだったロジャーズ駐EU大使が、強硬姿勢を貫き通すつもりの政権との不和などから突然、辞任した。そんな中、メイ首相が8日のインタビューで、EU単一市場へのアクセスよりも移民制限を優先させると表明し、EUからの離脱を示唆したと受け止められ、ハードブレグジットへの懸念が再燃したためポンドが再び売り込まれた。昨年6月の国民投票でEU離脱を選択したものの、離脱後のEUとの関係を模索し続け、うまく方向性を示すことのできない状況に変わりはないようだ。メイ首相は17日にEU離脱に関して演説を行う予定。
 英経済はポンド安などの恩恵を受けるなか、失業率は低いままで、昨年11月の鉱工業生産指数は主要油田の操業再開などで8カ月ぶりの大幅上昇となるなど、EU離脱による悪影響はほとんど見受けられない。ただし、昨年8〜10月期の就業者数は2015年4〜6月期以来の減少となり、昨年11月の貿易収支は輸入急増が輸出の伸びを大きく上回ったため122億ポンドの赤字と前月の99億ポンドの赤字から拡大し、エネルギー価格の上昇などによる物価への影響も懸念され、先行きのリスク要因がないわけではない。メイ政権とEUの交渉がスムーズに進まないのは想定済みだが、メイ政権の迷走で景気が下振れしてしまう可能性が出てきそうだ。


【ロスアンゼルス・サンタモニカのショッピングストリート。冬でも温暖の地】

【主要経済指標・イベントレビュー】
9日
独鉱工業生産(昨年11月)
:前月比+0.4%
ユーロ圏失業率(昨年11月)
:9.8%

11日
英鉱工業生産指数(昨年11月)
:前月比+2.1%
英製造業生産指数(昨年11月)
:前月比+1.3%
英貿易収支(昨年11月)
:121億6,300億ポンドの赤字

12日
日本貿易収支(昨年11月)
:3,431億円の黒字
日本経常収支(昨年11月)
:1兆4,155億円の黒字
米週間新規失業保険申請件数
:24万7000件

13日
米小売売上高(昨年12月)
:前月比+0.6%、自動車除くは前月比+0.2%
米生産者物価指数(昨年12月)
:前月比+0.3%、コアは前月比+0.2%
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(1月)
:98.1

【1月16日からの週の注目ポイント】
16日
日本機械受注(昨年11月)                   ☆☆

17日
英消費者・生産者物価指数(昨年12月)             ☆☆
独ZEW景況感指数(1月)                   ☆☆
ニューヨーク連銀製造業景気指数(1月)            ☆☆

18日
独消費者物価指数(CPI)改定値(昨年12月)          ☆☆
英雇用統計(昨年12月)                    ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(昨年12月)      ☆☆☆
米CPI(昨年12月)                     ☆☆☆
米鉱工業生産(昨年12月)                   ☆☆
NAHB米住宅市場指数(1月)                  ☆☆
カナダ中銀、政策金利発表                  ☆☆☆

19日
欧州中央銀行(ECB)理事会                  ☆☆☆
米住宅着工件数(昨年12月)                  ☆☆
米週間新規失業保険申請件数                 ☆☆
フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数(1月)        ☆☆

20日
昨年10-12月期・中国国内総生産(GDP)            ☆☆☆
中国鉱工業生産、小売売上高(昨年12月)            ☆☆
英小売売上高指数(昨年12月)                 ☆☆

*重要度を3段階で表示

2017年1月16日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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