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外為マーケットコラム

115円を中心とした相場展開へ

 先週のドル・円相場は、値動きが荒く、方向感なく推移した。18日には1ドル=112.57円と昨年11月30日以来の水準へ下落。英国のハードブレグジットへの懸念の強まりや、トランプ氏がウォールストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、米企業は「(中国)と競争できない。なぜならドルが強く、われわれは死にそうな目にあっているからだ」と述べ、ドル高をけん制したことなどに反応。米新政権の保護主義的な動きが強まることへの警戒感や米債利回りの低下なども一因となった。しかし、19日には一時、115.62円と1週間ぶりの水準まで急回復。前日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、利上げペース加速の可能性を示唆し、米債利回りが大きく上昇し、複数の米経済指標が予想以上に強い内容となったことなどから、主要通貨でのドル買い戻しの動きが進むこととなった。
 トランプ氏が正式に米大統領に就任したことで、政策の中身が改めて注目されることとなろうが、政策期待の相場はすでに終了しており、よほどのことがない限りドル・円相場への影響はないとみる。リスク回避の動きに押される一方、先行きの日米当局の金融政策の方向性の相違や金利差拡大観測などに下支えられようが、新たな決め手が見当たらない。依然として荒い相場展開が続きそうだが、110円割れや120円超などといった極端な値動きは見込みにくく、当面は115円を中心としたレンジ相場となるのではないか。

【米当局は利上げに前向き】
 イエレンFRB議長は18日、コモンウェルス・クラブ・オブ・サンフランシスコで経済について講演し、FRBの2つの目標(完全雇用と安定した物価)に接近していると述べ、次回の利上げは今後数カ月の経済次第との見方を示した。また、米国は最大雇用に近いとするも、賃金の伸びは引き続きかなり低いと述べており、インフレ圧力が確実に強まる兆候が出てくるかどうかが次回の利上げの判断材料となりそうだ。
 イエレン議長同様に利上げに慎重(ハト派)とみられているニューヨーク連銀のダドリー総裁は17日、当地で行われた小売業界関連の会議で講演し、インフレは特段問題となっておらず、今後数年間は景気拡大が続くと楽観しており、FRBが積極的な利上げで経済成長を損なうようなことはないと語った。また、最近のドル高が輸入物価への下方圧力になっており、国内生産者の価格引き上げ能力を制限するだろうと述べた。同日にはワシントンで同じくハト派のブレイナードFRB理事が講演し、財政政策をめぐる不確実性は高いとした上で、財政政策のたるみが縮小すれば利上げペースの加速を招く可能性があるとの認識を示した。また、財政拡大はドル高圧力の可能があるとする一方、新興市場と中国には下振れリスクがあるとの見方を示した。ハト派とみられる3者がともに利上げに前向きな姿勢を示しているのが興味深いところ。
 18日に発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.1%上昇と前月の1.7%上昇から加速し、2014年6月以来の大幅な伸びとなった。食品・エネルギーを除くコアCPIも2.2%上昇と前月の2.1%上昇を上回った。FRBは地区連銀経済報告で、昨年11月遅くから年末にかけて米経済は緩やかなペースで拡大し続けたとの見方を示すとともに、2017年も労働市場のひっ迫が見込まれ、賃金上昇圧力が強まる可能性を示唆した。足元のインフレの上振れリスクは着実に高まっており、経済指標次第では市場の思惑よりも早い時期にFRBが追加利上げに踏み切るかもしれない。

【ECBの緩和解除議論は時期尚早】
 欧州中央銀行(ECB)は19日の理事会で、主要政策金利をゼロ%、中銀預金金利をマイナス0.40%に、資産買い入れ策をそれぞれ据え置くことを決めた。ECBは、金利が現行水準かそれ以下に長期間とどまるとの見解をあらためて示すとともに、先行きが悪化すれば資産買い入れ規模を増額、または期間を延長する用意があるとした。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏のインフレ率は確たる上昇トレンドがみられないとし、大規模な刺激策の水準は依然として必要だとの認識を示した。また、ECBは、刺激策の縮小(テーパリング)について議論しなかったことを明らかにした。
 一部メディアの調査によると、ECBは今年遅くになるまではテーパリングを検討せず、2018年に入っても当分の間は資産買い入れプログラムを継続するとのこと。ユーロ圏のインフレ圧力は強まっており、製造業・サービス部門の景況感は大幅に改善し続けるなか、徐々に量的緩和の規模縮小に向けての態勢が整えられつつあるように思われる。ただし、ドラギ総裁も指摘するようにエネルギー高主導の足元の物価上昇圧力が持続するかどうかの判断は難しく、春にはオランダとフランスで、秋にはドイツで注目の選挙が控え、政治リスクがユーロ圏経済に与える影響が懸念され、引き続き緩和解除に向けた動きは慎重にならざるを得ないだろう。

【英中銀の金融政策は困難強まる】
 英国のメイ首相は17日、欧州連合(EU)単一市場からの完全離脱を表明し、ハードブレグジットへの懸念が一段と強まっている。EUとの無関税貿易がなくなり、メイ政権は自由貿易協定の締結と新ルールの段階的な施行にも取り組むとのこと。交渉が難航し、長引くことが予想されるなか、英国からの投資・雇用流出や景気減速の恐れが警戒される。
 イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁は16日、EU離脱決定後のポンド下落が物価を押し上げることが今年の英消費者にとって新たな逆風になるだろうと警告した。17日に発表された昨年12月の英CPIは前年比1.6%上昇と、2014年7月以来の高い伸びとなった。航空運賃と食品価格の上昇と、自動車燃料の下落幅が縮小したことが寄与。食品やエネルギーなどを除くコアCPIも1.6%上昇と2014年8月以来の高水準となった。さらに昨年12月の生産者物価算出指数は前年比2.7%上昇と6カ月連続してプラスとなり、2012年3月以来の大幅な伸び。総投入指数(15.8%上昇)も2011年9月以来、輸入物価指数(16.9%上昇)も2011年7月以来の高い伸びとなった。
 今後の英政府とEUの交渉の行方を見極める必要がある状況に変わりはないものの、一時的でも経済成長が減速するリスクが見込まれ、インフレが一段と上振れる可能性もあり、英中銀の金融政策は難しいかじ取りを迫られる状況が続きそうだ。


【夕闇迫るロスアンゼルスの映画館】

【主要経済指標・イベントレビュー】
17日
英消費者物価指数(CPI、昨年12月)
:前月比+0.5%、前年比+1.6%
英生産者物価指数(昨年12月)
:前年比+2.7%、コアは前年比+2.1%
独ZEW企業景況感指数(1月)
:16.6

18日
英失業率(ILO方式、昨年9-11月)
:4.8%
ユーロ圏CPI改定値(昨年11月)
:前年比+1.1%
米CPI(昨年12月)
:前月比+0.3%、コアは前月比+0.2%
米鉱工業生産(昨年12月)
:前月比0.8%
米地区連銀経済報告
:米経済は緩やかなペースで拡大続く
イエレンFRB議長
:FRBは2つの目標に接近、次回利上げは今後の経済次第

19日
ECB
:預金金利をマイナス0.4%に据え置く
米住宅着工件数(昨年12月)
:前月比+11.3%の122万6000件
米週間新規失業保険申請件数
:23万4000件
米フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数(1月)
:23.6

20日
昨年10-12月期・中国国内総生産(GDP)
:前年比+6.8%

【1月23日からの週の注目ポイント】
23日
ユーロ圏消費者信頼感速報値(1月)              ☆☆

24日
ユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)速報値(1月)       ☆☆
米中古住宅販売件数(昨年12月)                ☆☆

25日
日本貿易統計(通関ベース、昨年12月)            ☆☆
独IFO企業景況感指数(1月)                 ☆☆

26日
昨年10-12月期・英GDP速報値                ☆☆☆
米週間新規失業保険申請件数                 ☆☆
米新築住宅販売件数(昨年12月)                ☆☆
米景気先行指数(昨年12月)                  ☆☆

27日
日本全国消費者物価指数(CPI、昨年12月)          ☆☆☆
東京都区部コアCPI(1月)                   ☆☆
昨年10-12月期・米GDP速報値                ☆☆☆
米耐久財受注(昨年12月)                   ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数確報値(1月)          ☆☆

*重要度を3段階で表示

2017年1月23日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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