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外為マーケットコラム

リスク残り120円方向への上昇は困難

 先週のドル・円相場は、前半は1ドル=112円台半ばとトランプ新政権の先行き不透明感に対する懸念からリスク回避動きに押されたが、週半ば以降はトランプ米大統領が選挙公約の一部を実行し、経済成長押し上げへの期待感が再燃し、27日には115円台半ば近辺まで上昇した。米経済指標や米金融当局者からのタカ派的な発言などに対する市場の反応は鈍く、引き続きまったく先の読めないトランプ米大統領の発言や振る舞いに振り回されている。
 30〜31日に日銀金融政策決定会合、31〜2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えているが、現行の金融政策が維持される見通しで、3日発表の昨年12月の米雇用統計が注目される。ただし、よほど強い内容とならない限り、トランプ米大統領や欧州の政治に対するリスクが強く意識されていることから、相場への影響は限られよう。トランプ政権の保護主義的な姿勢や、米企業によるドル高是正要請などが重しとなり、120円方向へと進んでいくのは難しいとみる。引き続き昨年の米大統領投票日の翌日の安値(101.20円)から昨年12月15日に付けた10カ月ぶり高値(118.66円)までの半値戻し相当でもある110円を下値のメドとし、レンジ内で方向感のない展開が続くのではないか。

【日本の自動車業界がターゲットに】
 20日に正式に就任したトランプ米大統領だが、自らが正しいと思うこと以外は認めないという姿勢は選挙戦さながらで、市場には先行きの不安さが増している。23日には公約の一つ、環太平洋連携協定(TPP)を離脱するための大統領令に署名するとともに、メキシコおよびカナダとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉要請を表明した。米国第一主義を掲げ保護主義的な色彩を強めていることによる経済に与える影響も懸念されている。一方で、雇用を米国外に移転する企業には「極めて大規模」な国境税を課す方針を示し、規制を75%緩和することも明らかにした。政策による経済成長押し上げ期待から、ダウ工業株30種平均は25日に2万ドルの大台に乗せ、トランプ相場の根強さがうかがえるところ。
 トランプ米大統領は米大手自動車3社のトップらと会談し、対日批判を行った。自動車にかかる関税などで大きな誤解または勘違いをしているのか分からないが、対日赤字縮小のために自動車問題を追及してくる可能性は高そうだ。米国内での生産が進み、多くの雇用を創出し、自動車の対米輸出は30年前の半分に減少しているものの、対日赤字に占める自動車関連の割合は約7割もあり、トランプ米大統領からすれば格好のターゲットだろう。
 日本の昨年12月の貿易収支(速報)は6,414億円の黒字と、4カ月連続して黒字となり、昨年6月以来の高水準となった。輸出は前年比5.4%上回り、15カ月ぶりに増加。自動車は4.7%減少したが、自動車部品は16.5%も増加、半導体電子部品と電気回路等の機器も2ケタの伸びとなった。ただし、対米黒字は前年比5.1%下回り、2カ月ぶりに減少した。

【春先の米利上げはなさそう】
 FOMCメンバーから利上げペースの加速の可能性を示唆する発言が目立つ。FOMCでの投票権を持つフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は20日、労働市場のさらなる改善とインフレが2%の目標に近づけば今年は3回の利上げが適切になるとの認識を示した。投票権を持たないタカ派のリッチモンド連銀のラッカー総裁も、緩やかなペースでの現状の金融政策が後手に回るリスクがあるとし、他のメンバーよりも積極的な姿勢にあることを明らかにした。トランプ米大統領の恫喝による製造業の国内回帰で労働市場のさらなるひっ迫が見込まれることや、エネルギー価格の上昇によるインフレ圧力の強まりなどが確認されれば、躊躇なく利上げに踏み切りそうな雰囲気がある。
 ただし、トランプ政権の運営次第では、当局の利上げ見通しのタガがはずされるかもしれない。経済状況を見極める状況に変わりはないなか、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が公表しているFedウォッチによると、次回利上げは6月とみる向きが多い。

【足元の米成長は巡航速度並み】
 米商務省から27日に発表された昨年10-12月(第4四半期)・実質国内総生産(GDP)速報値は前期比1.9%の増加。2年ぶりの高い伸びとなった第3四半期(3.5%増)から大きく鈍化し、市場予想2.2%増も下回った。GDPの約7割を占める消費支出は2.5%増と3.0%増から伸び悩み。民間国内投資は10.7%増と3.0%増を大幅に上回り、特に住宅投資が10.2%増と4.1%減から急改善した。設備投資は2.4%増と3四半期連続のプラス。一方、輸出は4.3%減と10.0%増から急減し、3四半期ぶりのマイナス。前四半期は大豆輸出の急増で、2013年第4四半期以降で最高だった。足元の米経済成長は巡航速度(2%)並みだが、トランプ大統領の押し進める経済政策が実行に移されれば、成長が押し上げられるとの見方は多い。ただし、現時点では期待が先行しすぎており、トランプ大統領の危険な振る舞いなど負の面が成長の重荷になるリスクが警戒されるところでもある。

【金利上昇も住宅市場は好調維持】
 20日に終わる週の米住宅ローンの30年固定金利は平均4.35%と、トランプ氏の米大統領選勝利前の3.77%を大きく上回っている。米抵当銀行協会(MBA)発表の20日までの週の住宅ローン申請は昨年6月初旬以来の高水準となり、金利上昇による住宅市場への影響が懸念されているものの、まだ足元の住宅購入意欲に大きな衰えは見受けられない。
 昨年12月の住宅着工件数は前月比11.3%増の122万6,000戸と2カ月ぶりに回復し、1戸建ての減少(4.0%)も、5世帯以上の集合住宅の急増(53.9%)が寄与。2016年平均は116万6,400戸と2007年以来の高水準となった。また、昨年12月の中古住宅販売件数は549万戸、2007年2月以来の高水準となった前月(565万戸)から減少したが、販売平均価格は23万2,200ドルと前年比4.0%増加し、58カ月連続して上回った。12月末時点の在庫は165万戸と前月比10.8%減少し、1999年の統計開始以来で最低となった。一方、昨年12月の新築住宅販売件数は53万6,000件と昨年2月以来の低水準。過去約9年間で2番目の高水準となった前月(59万8,000件)の反動が出た。新築住宅販売価格の中央値は38万4,000ドルと、前年同月比7.2%上昇した。
 株式など家計資産の上昇などが住宅ローンの支払いに余裕を持たせているのかもしれないが、金利が高止まりし、住宅価格の値上がりが続き、在庫が減少し供給ひっ迫も続くようだと、活況が続く住宅投資の動きに影響が出てくるのは避けられそうもないだろう。


【ロスアンゼルスの青空に映えるパームツリー】

【主要経済指標・イベントレビュー】
24日
ユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)速報値(1月)
:54.3
米中古住宅販売件数(昨年12月)
:前月比-2.8%の549万戸

25日
日本貿易統計(通関ベース、昨年12月)
:6,414億円の黒字
独Ifo企業景況感指数(1月)
:109.8

26日
昨年10-12月期・英国内総生産(GDP)速報値
:前期比+0.6%
米新築住宅販売件数(昨年12月)
:前月比-10.4%の53万6000件

27日
日本全国消費者物価指数(CPI、昨年12月)
:前年比+0.3%、コアは前年比-0.2%
昨年10-12月期・米GDP速報値
:前期比+1.9%

【1月30日からの週の注目ポイント】
30日
独CPI速報値(1月)                     ☆☆
米個人所得・消費支出(昨年12月)               ☆☆

31日
日本失業率(昨年12月)                   ☆☆
日本鉱工業生産速報値(昨年12月)               ☆☆
日銀金融政策決定会合(30-31日)               ☆☆☆
独雇用統計(1月)                      ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(1月)         ☆☆☆
昨年10-12月期・ユーロ圏GDP速報値             ☆☆☆
米消費者信頼感指数(1月)                  ☆☆

1日
英製造業PMI(1月)                     ☆☆
米ADP雇用統計(1月)                   ☆☆☆
米ISM製造業景況指数(1月)                ☆☆☆
FOMC(31‐1日)                      ☆☆☆

2日
英中央銀行金融政策委員会(1−2日)            ☆☆☆

3日
ユーロ圏総合PMI改定値(1月)                ☆☆
ユーロ圏小売売上高(昨年12月)                ☆☆
米雇用統計(1月)                     ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(1月)               ☆☆☆

*重要度を3段階で表示

2017年1月30日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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