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外為マーケットコラム

目先は110円割れのリスクも

 ドル・円相場は2日、1ドル=112.05円と2カ月ぶりの水準まで下落。依然としてトランプ劇場に振り回される展開が続くなか、リスク回避の動きからドル売りが優勢となり、主要6通貨に対するドル指数も一時、昨年11月半ば以来の水準へ一段と切り下がった。
 トランプ米大統領はテロ対策の一環として特定の国からの入国禁止措置を発動すると、それに反対した司法長官代行をすぐさま解任。米国民の半分が大統領の行動を支持するも、国内外からの批判は強まるばかり。一方、トランプ米大統領は、ホワイトハウスでの製薬会社幹部との会合で、他国は資金供給と通貨切り下げで有利な立場にあり、米国はばかをみているとし、中国と日本を名指しで厳しく批判。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、米国家通商会議(NTC)のナバロ委員長の発言として、ドイツがユーロの「甚だしい過小評価」を悪用して貿易での優位性を高めていると批判したと伝えた。
 目先もトランプ米大統領から発せられるコメントに反応せざるを得ない状況が続くとみられ、ドル・円はリスク回避の動きに一段と押されてしまう可能性がありそうだ。トランプ米大統領が過去のビジネスの経験を生かし、計算づくで発言しているかどうか分からないが、米国第一主義や保護主義的な姿勢を強めるなか、貿易赤字是正のためにドル安を誘導するのが一番手っ取り早いと考えているのかもしれない。
 昨年の米大統領投票日の翌日の安値(101.20円)から昨年12月15日に付けた10カ月ぶり高値(118.66円)までの半値戻し相当でもある110円が目先の下値のめどだが、今の市場センチメントが改善に向かわないようだと、同水準を割り込むリスクが日増しに高まることとなりそうだ。

【米利上げ時期はまだ不透明】
 1月31日と2月1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、短期金利となるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標水準を0.50〜0.75%に据え置かれた。市場の予想通り。声明文では、消費者と企業のセンチメントが最近改善したことが示され、設備投資は依然として弱く、短期的な見通しに対するリスクは概ね均衡しているとのこと。また、緩やかな成長の中、労働市場は強さを継続している一方、インフレは最近上昇したが、依然として2%下回っており、低いままだと判断された。引き続き発表される経済指標や、トランプ政権の掲げる成長押し上げのための政策がどの程度反映されることになるのかなどを見極める必要があり、先行きの利上げ時期はまだ不透明なままだ。

【物価上昇圧力は力強さ欠く】
 日本銀行は1月30〜31日に金融政策決定会合を開催し、金融政策は「現状維持」とした。長期金利の誘導目標をゼロ%程度、短期金利をマイナス0.1%、長期国債買い入れ規模を年間約80兆円など従来方針を据え置いた。黒田総裁は会合後の記者会見で、トランプ米大統領の経済政策が成長を押し上げる可能性がある一方、保護主義的な政策は世界貿易の縮小や世界経済が減速する懸念があると指摘し、引き続き動向を注視する姿勢を示した。
 日銀はまた、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を発表し、2017年度の国内総生産(GDP)の伸び見通しを前年比1.5%増と昨年11月時点予想1.3%増から上方修正した。一方、生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)見通しは2017年度が前年比1.5%上昇、来年度が1.7%上昇と据え置かれた。1月27日に発表された昨年12月のコアCPIは前年比0.2%低下と前月(0.4%低下)から改善するも、10カ月連続してマイナスのまま。市場では年末から来年初めには1%程度の上昇が見込まれているようだが、欧米に比べると物価上昇圧力の力強さに欠き、金融緩和解除に向けた議論が盛り上がるような状況にはない。

【足元の米経済指標は強弱まちまち】
 足元の米経済指標は強弱まちまち。1月のADP民間雇用者数は24万6,000人増と昨年6月以来の大幅なもの。1月のISM製造業景況指数は56.0と5カ月連続して拡大し、2014年11月以来の高水準となり、新規受注と生産も2年2カ月ぶりの高水準となり、雇用指数は5カ月連続して上昇し、仕入価格指数は11カ月連続して上昇した。
 一方、注目された1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が22万7,000人増と4か月ぶりの高水準となるも、失業率は上昇し、平均時給の伸びは前年同月比2.5%上昇と前月(2.8%上昇)から鈍化。昨年12月の個人消費支出(PCE)は前月比0.5%増と3カ月ぶりの大幅な伸びとなったが、FRBが政策判断の上で重視する食品・エネルギーを除くコアPCE価格指数は前年同月比1.7%上昇と前月から横ばいとなり、目標とする2.0%手前での足踏み状態が続いている。1月のシカゴ購買部協会景気指数は50.3と予想に反して低下し、昨年5月以来の水準に落ち込んだ。新規受注が13カ月ぶりの低水準となるなど需要の落ち込みが背景。また、1月の米消費者信頼感指数は111.8と、2001年8月以来の高水準だった前月(113.3)から低下。期待指数は13年ぶりの高水準となった前月を下回り、前月からの下げ幅は2015年11月以来の大幅なものとなった。

【ECBは物価上昇の継続性を見極めへ】
 依然としてユーロ圏の経済指標の改善が続いていることが目につく。昨年10〜12月期・域内総生産(GDP)速報値は前期比0.5%増加と、3四半期ぶりの高い伸びとなった。昨年12月のユーロ圏失業率は9.6%と、2009年5月以来の低水準となり、ドイツは5.9%と東西ドイツ統一以降の最低水準を更新。1月のユーロ圏消費者物価指数速報値は前年比1.8%上昇と2013年初め以来の高い伸びとなり、エネルギーが8.1%上昇と前月(2.6%上昇)から加速したのが要因。また、1月の独消費者物価指数速報値も前年比1.9%上昇と2013年7月以来の高い伸びとなり、家庭向けエネルギー価格や食料品の上昇などが背景となった。
 ただし、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和解除に向けた次の措置へと行動を移るにはまだまだ時間がかかりそうだ。経済成長は改善しているものの、ペースは巡航速度(2%)を大幅に下回り、力強さを欠く。また、インフレはECBの2%の物価目標に近づくも、エネルギー価格の割合が極めて高く、継続性に疑問が残る。オランダや仏独の選挙など政治リスクが常に付きまとう状況が続きそうなこともあり、ECBはしばらく政治・経済などの状況を見極める必要があり、次の一手までには時間がかかることとなりそうだ。


【NYは現在、真冬。初夏のセントラルパークが待ち遠しい。】

【主要経済指標・イベントレビュー】
30日
独消費者物価指数速報値(1月)
:前月比-0.6%
米個人消費支出(PCE)コア価格指数(昨年12月)
:前月比+0.1%、前年比+1.7%

31日
日銀金融政策決定会合
:金融政策を据え置く
独雇用統計(1月)
:失業率は5.9%、失業者数は2万6,000人減
昨年10-12月期・ユーロ域内総生産(GDP)速報値
:前期比+0.5%
ユーロ圏失業率(昨年12月)
:9.6%
ユーロ圏消費者物価指数速報値(1月)
:前年比+1.8%
米シカゴ購買部協会景気指数(1月)
:50.3
米消費者信頼感指数(1月)
:111.8

1日
ユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)改定値(1月)
:55.2
米ADP雇用統計(1月)
:24万6000人増
米ISM製造業景況指数(1月)
:56.0
FOMC
:0.50-0.75%の政策金利を据え置く

2日
ユーロ圏生産者物価指数(昨年12月)
:前月比+0.7%、前年比+1.6%
英中銀金融政策委員会
:0.25%の政策金利を据え置く
米週間新規失業保険申請件数
:24万6000件

3日
ユーロ圏総合PMI改定値(1月)
:54.4
米雇用統計(1月)
:失業率は4.8%、非農業部門雇用者数は22万7,000人増
米ISM非製造業景況指数(1月)
:56.5

【2月6日からの週の注目ポイント】
6日
独製造業新規受注(昨年12月)                 ☆☆

7日
独鉱工業生産(昨年12月)                   ☆☆
米貿易収支(昨年12月)                    ☆☆

8日
日本経常収支・貿易収支(昨年12月)              ☆☆

9日
日本機械受注(昨年12月)                   ☆☆
米週間新規失業保険申請件数                 ☆☆

10日
中国貿易収支(1月)                     ☆☆
英鉱工業生産指数(昨年12月)                 ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(2月)          ☆☆

*重要度を3段階で表示



2017年2月6日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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