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外為マーケットコラム

米利上げ確実も上値は限定されそう

 ドル・円相場は10日に一時、1ドル=115.51円と1月19日以来の水準へ上昇。9日に発表された2月の米ADP雇用者数が前月比29万8,000人増と2014年4月以来の高水準となり、10日発表の2月の米雇用統計でも非農業部門雇用者数が23万5,000人増と予想を上回り、力強い雇用拡大ペースが続いていることや、前年比での平均時給の伸びが加速したことなどが確認された。市場は、14〜15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に行われる連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の記者会見で、利上げペースの加速を示唆するようなコメントが出てくるかどうかに関心が移っている。
 チャート上でみると、日足ベースでは112円前後でダブルボトムを形成したようにみられ、週足ベースでも一目均衡表の雲の上限で下支えられ持ち直しており、110円方向への下げリスクは後退。ただし、欧米の政治の不透明さや株高などが警戒されるなか、日米金利差拡大見通しだけで120円方向へと上昇し続けるのは無理があり、引き続き115円を中心とした相場展開にとどまるのではないか。

【1月の米貿易赤字は2012年3月以来の高水準】
 米商務省が7日に発表した1月の貿易収支は485億ドルの赤字と、前月の443億ドルの赤字から拡大し、2012年3月以来の高水準となった。輸出は1,921億ドルと前月比11億ドル(0.6%)上回り、2014年12月以来の大幅なものとなり、部門別では産業用資材・原料も2年ぶり、石油は2015年5月以来の高水準。米政権の批判が集まる中国への輸出は13.4%減少、ドイツへも10.7%減少した。輸入は2,406億ドルと53億ドル(2.3%)増加し、2014年12月以来で最大となり、自動車・部品は過去最高、石油製品と資本財は2年ぶりの高水準となった。中国からの輸入は5.1%増加したが、日本からは13.9%減、ドイツからも9.2%減少した。対中赤字は12.8%増の313億ドルに拡大し、対日赤字は自動車・部品の減少から54億ドルと前月比16.2%減少も、前年同月を12.1%上回った。対メキシコ赤字は10.1%減の39億ドルと2015年7月以来の低水準となった。
 ウィルバー・ロス米商務長官は同日、1月の貿易赤字は我々が行わなければならないことが数多くあることを示唆しているとし、米政府は数カ月以内に悪条件の貿易取引を再交渉するとのコメントを出した。また、10日には「貿易問題について日本の優先度は高い」と名指しした。引き続き米政権の保護主義の動きの強まりが、為替相場に影響を与えるリスクが警戒される。

【日本の1月の貿易収支は1年ぶりの赤字】
 財務省が8日に発表した1月の国際収支状況(速報)によると、貿易収支は8,534億円の赤字と前月(8,068億円の黒字)から転じた。1年ぶりの赤字で、前年同月比4,218億円の赤字拡大となった。原油価格の上昇等により輸入額が増加したため。輸出は5兆5,173億円と前年同月比29%上回り、2カ月連続して増加。商品別では、鉱物性燃料(52.1%)、自動車部品(12.5%)などが増加した。輸入は6兆3,707億円と10.0%上回り、25カ月ぶりに増加に転じた。商品別では、原粗油(35.7%)、石炭(52.3%)などが増加した。
 また、1月の経常収支は655億円の黒字と前年同月比5,245億円の黒字縮小。経常収支は31カ月連続して黒字となるも、前年同月を下回ったのは昨年5月以来のことで、黒字額は2014年6月以来の低水準となった。財務省によると、1月は正月休みのため輸出が減る傾向にあり、黒字額が縮小しやすいとのこと。

【OECDは世界経済成長見通しを据え置く】
 経済協力開発機構(OECD)は7日、世界経済中間見通しを発表。2017年の世界経済成長率見通しは3.3%、来年は3.6%に拡大も、ともに前回11月予想から据え置かれた。世界経済は緩やかに回復する見込みも、保護主義、金融の脆弱性、中央銀行の政策の変化の可能性、株価評価と実体経済の見通しのずれによるリスクがあるとの見解が示された。
 加盟国別でみると、米国は今年が2.4%と0.1ポイント上方修正され、来年は2.8%と0.2ポイント引き下げられた。内需が強まり始めていることや、長期金利の上昇やドル高にもかかわらず、予想される財政支出拡大が下支えするとのこと。ユーロ圏は今年が1.6%と据え置かれ、来年は1.6%と0.1ポイント下方修正された。緩やかなペースでの成長が続く見通しも、複数の国での高い失業率や金融セクターの弱さが重しとなる見通し。
 日本は今年が1.2%と0.2ポイント引き上げられ、来年は0.8%と据え置かれた。財政緩和や、円安による輸出増加などが寄与するも、消費支出は弱いままとの見方が示された。英国は1.6%と0.4ポイント上方修正され、来年は1.0%と変わらず。インフレ率上昇が消費・企業活動を圧迫し、欧州連合(EU)離脱が投資を抑える見通し。中国は6.5%と0.1ポイント引き上げられ、来年は6.3%と0.2ポイント上方修正された。消費・サービスへの移行や複数の重工業の調整など多くの必要な構造変化が影響するとのこと。

【ECBはインフレと成長見通しを引き上げ】
 欧州中央銀行(ECB)は9日の理事会で、政策金利となるリファイナンスオペの最低応札金利をゼロ、中銀預金金利をマイナス0.4%に据え置いた。また、4月から資産購入プログラムの規模を月額800億ユーロから600億ユーロに引き下げることを確認した。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、「金利は長期にわたり現行あるいはそれ以下の水準に留まる」との見解を再表明。新規のTLTRO(対象を絞った長期資金供給オペ)に関する議論はなく、10日には一部メディアが量的緩和(QE)終了前の利上げがあり得るかどうかを協議したと報じたことを受け、ユーロは一時、対ドルで1ユーロ=1.07ドル近辺と1カ月ぶりの水準へ上昇した。
 一方、公表されたECBスタッフによる最新経済予測によると、今年のインフレ率見通しは1.3%から1.7%に、来年は1.5%から1.6%に引き上げられ、2019年は1.7%に据え置かれた。また、経済成長率見通しは今年が1.7%から1.8%に、来年が1.6%から1.7%に引き上げられ、2019年は1.6%に据え置かれた。


【キース・へリングのアートが描かれたNYマンハッタンのプールの壁】

【主要経済指標・イベントレビュー】
6日
米製造業新規受注(1月)
:前月比+1.2%

7日
昨年10-12月期・ユーロ域内GDP確定値
:前期比+0.4%
米貿易収支(1月)
:485億ドルの赤字

8日
昨年10-12月期・日本GDP改定値
:前期比+0.3%
日本貿易収支(1月)
:8,354億円の赤字
日本経常収支(1月)
:655億円の黒字
中国貿易収支(2月)
:91.5億ドル(603.6億元)の赤字
独鉱工業生産(1月)
:前月比+2.8%
米ADP雇用統計(2月)
:29万8,000人増

9日
ECB理事会
:政策金利ゼロ%に据え置く

10日
米雇用統計(2月)
:失業率は4.7%、非農業部門雇用者数は23万5,000人増

【3月6日からの週の注目ポイント】
13日
日本機械受注(1月)                    ☆☆

14日
独消費者物価指数(CPI)改定値(2月)           ☆☆
独ZEW景況感指数(3月)                  ☆☆
米生産者物価指数(2月)                  ☆☆
FOMC(15日まで)                     ☆☆☆

15日
日銀金融政策決定会合(16日まで)              ☆☆
英雇用統計(2月)                     ☆☆
英中銀金融政策委員会(16日まで)               
米CPI(2月)                       ☆☆☆
米小売売上高(2月)                    ☆☆☆
ニューヨーク連銀製造業景気指数(3月)           ☆☆☆
イエレンFRB議長、FOMC終了後の記者会見           ☆☆☆

16日
日本黒田日銀総裁、金融政策決定会合後の記者会見       ☆☆☆
ユーロ圏消費者物価指数改定値(2月)            ☆☆☆
米住宅着工件数(2月)                    ☆☆
フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数(3月)        ☆☆

17日
米鉱工業生産(2月)                     ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(3月)          ☆☆
米景気先行指数(2月)                    ☆☆

*重要度を3段階で表示



2017年3月13日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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