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外為マーケットコラム

しばらくは調整局面入りか

 ドル・円相場は17日、1ドル=112円台半ばと2月28日以来の水準へ下落。市場の注目が集まった米連邦公開市場委員会(FOMC)で、短期金利の指標となるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標水準が0.50〜0.75%から0.75〜1.00%に引き上げられたのはすでに織り込み済みだったものの、年内の利上げ回数見通しが変更されず、緩やかなペースでの利上げ姿勢を継続することが示されたことに対する失望感が広がることとなった。主要6通貨に対するドル指数は同日に一時、5週間ぶりの水準まで落ち込んだ。
 過度の米利上げ期待が後退するも、年内2回の利上げの可能性がある状況に変わりはない一方、欧米に比べてインフレ圧力が限られるなど日銀が量的緩和政策を転換するような状況にはなく、引き続き先行きの金利差拡大見通しがドル・円を下支えしそうだ。
 ただし、決め手となるには力不足感は否めず、1月前半以降、ドル・円相場は115円台が厚い壁となるなか、目先も同水準を切り上がっていくような局面を描きにくいところ。市場の期待するトランプ政権の財政刺激策の具体的な中身はいまだにはっきりとせず、議論も始まっておらず、議会を通過するのに来年までかかってしまう可能性がある。また、保護主義政策を進める米政権はすでに日本の自動車・農産物市場の開放を要求し、今後、圧力を強めてくるのは目に見えており、為替への影響が警戒される。ドル・円相場の調整がしばらく続き、年明け以降の下値のめどとなっている112円前後を割り込む可能性があるかもしれず、110〜115円のレンジが意外に長く続くこととなるかもしれない。

【投機家のドル高見通し崩される】
 14〜15日開催されたFOMC終了後に発表された声明では、「インフレ目標は達成に近く、インフレは中期的に2%付近で安定する。労働市場は力強く、雇用増加は底堅い」との見方が示された。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長はFOMC終了後の記者会見で、利上げは経済の進展が継続していることを反映したものだと説明。また、緩やかなぺースでの経済成長の持続を見込み、金融政策は利上げ後も緩和的であり続けるとし、(今回を含めて)年内3回の利上げは緩やかなペースだと確実に言えるとの認識を示した。
 市場では、直近までの米経済指標は利上げを正当化するものが数多く見受けられ、イエレン議長を含む複数の金融当局者から早期の利上げを支持する発言が続いたことから、今月に入って急速に利上げ観測が強まるとともに、年内の利上げ回数が3回から4回に引き上げられるのではとの強気な見方が広がっていた。FOMC開催前の10日に米商品先物取引委員会(CFTC)から発表された7日時点のNYドル指数の建玉明細(先物・オプション)によると、大口投機家のポジションは5万1,051枚の買い越しと前週比14%増加し、1月10日(5万3,128枚)以来の高水準だった。FOMC結果は、先行きのドル高を見込む向きのはしごを外した格好となった。

【足元の米指標はまちまち】
 最新の米経済指標は力強さを欠いており、強弱まちまちのものが目につくようになっている。2月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇と前月の0.6%上昇から鈍化し、エネルギーが0.6%上昇と同4.7%上昇から急低下したことが要因。ただ、前年同月比は2.2%上昇と前月の1.6%上昇から加速し、2012年3月以来の大幅な伸びとなった。
 2月の消費者物価指数(CPI)も前月比0.1%上昇と、昨年7月以来の小幅な伸び。前月は0.6%上昇と、2013年2月以来の最大だった。ガソリン価格が前月比3.0%下落し、エネルギー全体で1.0%低下し、昨年7月以来の落ち込みとなったことが背景。前年同月比は2.7%上昇と前月の2.5%上昇から加速し、2012年3月以来で最大。また、食品・エネルギーを除くコアCPIは前月比0.2%上昇と、過去5カ月で最大となった前月(0.3%上昇)から鈍化し、前年同月比も2.2%上昇と前月の2.3%上昇を下回った。
 2月の小売売上高は前月比0.1%増加と、6か月ぶりの小幅な伸び。自動車が0.2%減と2カ月続けてマイナスとなり、ガソリン価格の下落からガソリンスタンドの売上高も0.6%減少。所得税還付の遅れも売上高の鈍化に影響したようだ。国内総生産(GDP)の算出に使用される食品サービス、自動車、ガソリンスタンドや建設資材を除くコア小売売上高は0.1%増と、前月の0.8%増から大きく鈍化。また、自動車を除く小売売上高も前月比0.2%増と、前月の1.2%増を大幅に下回った。

【独景気の先行きは不透明】
 ドイツの2月の欧州連合(EU)基準消費者物価指数(CPI)改定値は前年同月比2.2%上昇し、2012年8月以来の高い伸びとなり、欧州中央銀行(ECB)の物価目標2%を超えた。家庭用エネルギー価格が7.2%上昇したのが寄与。食料品も4.4%上昇し、野菜は21.0%上昇。食品・エネルギー除くコアCPIも1.3%上昇と前月の1.2%上昇からわずかに加速した。
 一方、ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)発表の2月の独景況感指数は12.8と前月の10.4から上昇するも、市場予想13.0を下回った。ZEWのバンバッハ所長は、「前月から小幅な伸びにとどまったのは、先行きの景気動向を取り巻く現在の不透明感を反映。鉱工業生産と輸出は拡大したが、受注と小売売上高は好ましいものではなく、経済状況は明確な結論を下すことができない。今後の欧州各国の選挙による政治的リスクが、ドイツ経済にかなり高い水準で不透明さをもたらし続けている」との見方を示した。
 15日のオランダ下院選挙では、ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党(VVD)が第1党を維持したが、4〜5月に行われる仏大統領選挙でポピュリズム(大衆迎合主義)の動きが躍進すれば、9月の独選挙への影響が警戒される。また、欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーから債券購入プログラムの終了前に利上げに踏み切る可能性が示唆され、ユーロは対ドルで約6週間ぶりの水準へ上昇している。選挙への懸念が稀有に終われば、ECBの利上げが現実味を帯び、ユーロ高が進むことが見込まれ、ぜい弱さが残るユーロ圏経済への影響が懸念されることとなりそうだ。


【観光客で賑わうNYマンハッタンのタイムズスクウェア】

【主要経済指標・イベントレビュー】
14日
独消費者物価指数(CPI)改定値(2月)
:前月比+0.6%
独ZEW景況感指数(3月)
:12.8
ユーロ圏鉱工業生産(2月)
:前月比+0.9%
米生産者物価指数(2月)
:前月比+0.3%、コアは前月比+0.3%

15日
日本鉱工業生産確報値(1月)
:前月比-0.4%
英雇用統計
:ILO方式の昨年11−今年1月期失業率は4.7%
米消費者物価指数(2月)
:前月比+0.1%、コアは前月比+0.2%
米小売売上高(2月)
:前月比+0.1%、自動車除くは前月比+0.2%
ニューヨーク連銀製造業景気指数(3月)
:16.4

16日
日銀金融政策決定会合
:短期金利-0.1%、長期金利ゼロ%程度に据え置く
スイス中銀
:政策金利-0.75%に据え置く
ユーロ圏消費者物価指数改定値(2月)
:前年比+2.0%
英中銀金融政策委員会
:政策金利0.25%に据え置く、資産購入規模4,350億ポンドに据え置く
米住宅着工件数(2月)
:前月比+3.0%の128万8,000件
フィラデルフィア地区連銀景況指数(3月)
:32.8

17日
米鉱工業生産(2月)
:前月比変わらず
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(3月)
:97.6
米景気先行指数(2月)
:前月比+0.6%

【3月20日からの週の注目ポイント】
21日
英消費者、生産者物価指数(2月)               ☆☆
昨年10-12月期・米経常収支                  ☆☆

22日
日銀金融政策決定会合議事録公表              ☆☆☆
日本貿易統計(2月)                     ☆☆
米中古住宅販売件数(2月)                  ☆☆

23日
独GFK消費者信頼感(4月)                   
英小売売上高指数(2月)                   ☆☆
ユーロ圏消費者信頼感速報値(3月)              ☆☆
イエレンFRB議長、講演                   ☆☆☆
米新築住宅販売件数(2月)                 ☆☆☆

24日
ユーロ圏製造業・サービス部門PMI速報値(3月)        ☆☆
米耐久財受注(2月)                     ☆☆

*重要度を3段階で表示



2017年3月21日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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