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外為マーケットコラム

ひとまず110円割れは遠のく

 先週のドル・円相場は、週明け2日間は1ドル=110円を試すも割り込むまでには至らず、週後半には一時、112.20円まで持ち直した。トランプ政権の目玉の一つ、医療保険制度改革(通称オバマケア)を廃案に持ち込むことに失敗したことで、先行きの経済政策の実現に向けた懸念が強まり、3月27日に主要6通貨に対するドル指数は昨年11月11日以来の水準まで下落。しかし、トランプ米大統領がオバマケア代替法案撤回後に、次の標的は税制改革になる可能性を示唆し、28日の共和党議会大会後には、ライアン下院議長が今後は税制改革に取り組むと約束すると発言したことから、市場のセンチメントが一変。予想を上回る複数の米経済指標や、複数の米金融当局者がタカ派的な発言を繰り返していること、英国の欧州連合(EU)離脱交渉の開始や3月の独消費者物価指数(CPI)が予想以上に鈍化したことなどもあり、31日にはドル指数が2週間ぶりの水準まで急回復した。
 米経済成長の拡大ペースが続いていることや労働市場のひっ迫、インフレ圧力の強まりなどを背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)による一段の金融引き締めが見込まれるなか、ドル・円はひとまず110円を割り込むような調整局面の深押しのリスクは後退したと思われる。ただし、依然として米サイドからの材料を見極める状況に変わりはなく、ドル買い・円売りを進めていくだけの決め手も見当たらないことから、110〜115円のレンジ内で方向感なく推移する展開が続くこととなろう。

【米金融当局者はさらなる利上げを支持】
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFEDウォッチによると、市場は31日時点で6月と12月の2回の利上げを予想する向きが多く、米連邦公開市場委員会(FOMC)が見込む3回を下回っている。雇用情勢やインフレ動向、米政権の税制改革の行方などを見極める必要があるなか、引き続き金融当局者からは利上げに前向きな発言が続いている。
 シカゴ連銀のエバンス総裁は27日、(金融政策に対する)自身の見通しはFOMCの中央値より低く、年内の利上げは2回から3回がおそらく適切になると述べた。インフレが加速すればFOMCは行動するとし、景気回復が本格的に進めば年4回の利上げもありうるだろうが、そのための論拠は十分でないとした。イエレンFRB議長は、28日のワシントンでの講演では金融政策に言及しなかったが、雇用はリセッション(景気後退)以来、明らかに改善し、経済は全般的に回復しているとの認識を示した。同日に米経済専門局CNBCとのインタビューに応じたフィッシャーFRB副議長は、年内の利上げはあと2回がおおむね適切とする一方、金融政策に大きな影響を与えるとし、トランプ政権の財政政策の協議の行方を注視していることを明らかにした。
 ボストン連銀のローゼングレン総裁は29日、今年4回の利上げはFRBの示している緩やかな軌道と合致しているも、財政政策が見通しを不透明にしていると述べた。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は同日、今年3回を超える利上げは可能とし、失業率は年末までに4.5%程度で底打ちとなり、金融政策の景気引き上げ効果は現状では限定的との見方を示した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は31日、年内あと2回の利上げが適切とし、利上げ回数はデータ次第と述べた。

【3月の米消費者信頼感指数は16年3カ月ぶりの高水準】
 米調査会社コンファレンス・ボード(CB)発表の3月の消費者信頼感指数は125.6と予想に反して上昇し、2000年12月以来の高水準。現況指数も2001年8月以来の高水準となり、今後6カ月の期待指数も2000年9月以降で最高となった。CBの景気指標担当ディレクター、リン・フランコ氏は声明文で、消費者短期見通しにかなり楽観的で、今後数カ月も経済成長見通しがやや上振れする可能性を示唆しているとの見方を示した。
 一方、米商務省発表の2月の個人所得・消費支出(PCE)統計によると、個人所得は前月比0.4%増と前月の0.5%増を下回った。PCEは前月比0.1%増と前月の0.2%増から鈍化し、市場予想(0.2%増)も下回った。FRBが政策判断の上で重視する食品・エネルギーを除くPCEコア価格指数も前月比0.2%上昇と前月の0.3%上昇を下回り、前年同月比は1.8%上昇と前月から横ばいだった。
 消費者信頼感の上昇も、個人消費の伸びは2カ月続けて前月を下回り、物価圧力も伸び悩むこととなり、追加利上げの判断にはしばらく様子見が続きそうだ。今週は主要な指標が相次ぐなか、7日発表の3月の雇用統計が最も注目され、現時点の事前予想は失業率が4.7%と変わらず、非農業部門雇用者数は17万5,000人増と昨年7月以来の高水準となった前月(23万5,000人増)を大きく下回る見通し。

【3月の独企業景況感指数は2011年7月以来の高水準】
 マークイットが24日発表したユーロ圏の3月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は予想に反して上昇し、5年11カ月ぶりの高水準。雇用者数が大幅増加する一方、物価圧力が高まり、1−3月期の域内経済成長率(GDP)は0.6%増となる見通し。独Ifo経済研究所が27日に発表した3月の独企業景況感指数も予想外に上昇し、2011年7月以降で最高となった。現況指数は昨年9月以降の上昇トレンドを継続し、先行きの期待指数も2カ月連続して改善。Ifoのヒュースト所長は、独経済の回復基調は勢いを増していると指摘した。
 間近に迫った仏大統領選挙や、英国のEU離脱交渉の行方が警戒されるも、現時点で政治リスクをうまくこなすなか、ユーロ圏経済はこの先も緩やかなペースでの拡大が続くとみられ、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和政策の解除に踏み切る可能性が台頭している。ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は、利上げを債券買い入れプログラム終了の前にするか、後にするか今後決定すると発言。バイトマン独連銀総裁は、エネルギー価格が物価に与える影響は落ち着いていくとするも、緩和期待は後退していくとし、必要以上の緩和継続はリスクと指摘。クノット・オランダ中銀総裁は、来年1月からテーパリングを始めるべきとし、その後に利上げを実施すべきだとも主張している。
 プラートECB専務理事は、インフレは一時的な要因によるもので今後衰えるとみられ、大規模な金融政策のサポートが引き続き必要になると述べたが、量的緩和解除に向けた現在のような追い風が続くようだと、ECBが後手に回る恐れがあるとの観測が広がりそうだ。4月27日に予定されている次回のECB理事会が注目される。


【マンハッタン42丁目駅構内のパブリックアート】

【主要経済指標・イベントレビュー】
27日
独Ifo企業景況感指数(3月)
:112.3

28日
米消費者信頼感指数(3月)
:125.6

29日
米中古住宅販売仮契約指数(2月)
:前月比+5.5%

30日
独消費者物価指数(CPI)速報値(3月)
:前月比+0.2%
昨年10-12月期・米GDP確定値
:前年比+2.1%

31日
日本全国CPI(2月)
:前年比+0.3%
東京都区部コアCPI(3月)
:前年比-0.4%
失業率(2月):2.8%
鉱工業生産速報値(2月)
:前月比+2.0%
独雇用統計(3月)
:失業率は5.8%、失業者数は前月比3万人減
ユーロ消費者物価指数(HICP)速報値(3月)
:前年比+1.5%
米個人所得・支出(2月)
:所得は前月比+0.4%、支出は前月比+0.1%

【4月3日からの週の注目ポイント】
3日
日銀企業短期経済観測調査(短観)              ☆☆☆
ユーロ圏製造業PMI改定値(3月)               ☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(2月)                ☆☆
ユーロ圏失業率(2月)                    ☆☆
米ISM製造業景況指数(3月)                ☆☆☆

4日
ユーロ圏小売売上高(2月)                  ☆☆
米貿易収支(2月)                      ☆☆
米製造業新規受注(2月)                   ☆☆

5日
ユーロ圏総合PMI改定値(3月)                ☆☆
米ADP雇用統計(3月)                   ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(3月)               ☆☆☆
FOMC議事録公表(3月14-15日開催)             ☆☆☆

6日
独製造業新規受注(2月)                   ☆☆

7日
独鉱工業生産(2月)                     ☆☆
米雇用統計(3月)                     ☆☆☆

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2017年4月3日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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