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外為マーケットコラム

110円の壁厚いなか調整場面続く

 ドル・円相場は7日、一時、1ドル=110.13円と3月27日以来の水準へ下落。シリア政府が反体制派に化学兵器を使用したことを受け、米軍がシリア軍施設に向けて巡航ミサイルで攻撃したことからリスク回避の動きが強まった。米債利回りの低下や、3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が9万8,000人増と市場予想(18万人増)を大きく下回り、10カ月ぶりの低水準となったことや、平均時給の伸び悩みなども一因となった。先月末以降、ドル売り材料が相次ぐも、110円を割り込めず、逆に厚い壁となっている。
 ただし、現時点でドル・円が大きく反発していくような材料は特に見当たらない。年内2回の利上げが妥当との見方も指標次第で、緩やかなペースでの利上げ姿勢が続く見通し。トランプ政権が次の焦点とする税制改革も具体的な中身は一向に示されず、先行きの実現性は不透明なままなことや、23日には仏大統領選の第1回目の投票を控えていることなど欧州の政治不安も警戒される状況に変わりはなく、目先も調整局面が続く公算は大きいだろう。110円を割り込めば、200日移動平均(108円台半ば)や、昨年安値から高値までの61.8%押し(106円台半ば)まで下げてしまうリスクはまだ払しょくできそうもない。

【FOMCは年内のバランスシート縮小の可能性示唆】
 米連邦準備制度理事会(FRB)が5日に公表した3月14〜15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、バランスシートの縮小を年内に開始する可能性が示された。金融危機前の米国債と住宅ローン担保証券の保有高は約1兆ドルだったが、現在は4兆5,000億ドルまで膨らんでいる。先週の時点でニューヨーク連銀のダドリー総裁が、金利同様に景気が想定通り展開するなら、今年終わりもしくは2018年に保有する証券を再投資するのでなく、緩やかなペースで償還を始めてもおかしくないと述べており、市場の反応は限られたものの、量的にも引き締めへと転じることからドルの下支え要因となろう。

【米製造業・非製造業活動は拡大基調が一服】
 米供給管理協会(ISM)が4日発表した3月の製造業景況指数は57.2と、7か月ぶりに前月(57.7)を下回った。前月は2014年8月以来の高水準だった。新規受注指数は3年ぶりの高水準となった前月から、生産指数も6年ぶりの高水準となった前月からそれぞれ低下したが、雇用指数は5年9か月ぶり、仕入価格指数は5年10か月ぶりの最高となった。
 また、5日発表の3月の非製造業景況感指数も55.2と、2015年10月以来の高水準となった前月(57.6)から低下し、5カ月ぶりの低水準となった。景況指数は6年ぶりの高水準となった前月から、新規受注指数も2015年8月以降で最高となった前月から低下。雇用指数は7か月ぶりの水準に落ち込み、仕入れ価格指数は4年ぶりの大幅な低下となった。

【2月の米貿易赤字は4か月ぶりの低水準】
 米商務省が4日発表した2月の貿易収支は436億ドルの赤字と前月比9.6%減少し、4か月ぶりの低水準となった。前月は482億ドルの赤字と速報値の485億ドルの赤字から小幅縮小も、引き続き2012年3月以来の高水準で、市場予想は446億ドルの赤字だった。輸出は1,929億ドルと前月比4億ドル(0.2%)上回り、2014年12月以降で最高。自動車・部品の輸出は2014年7月以来の大幅なものとなった。輸入は2,364億ドルと43億ドル(1.8%)下回り、ほぼ1年ぶりの大幅な減少。自動車・部品の輸入は26億ドル減少し、乗用車は21億ドル減少。一方で、食品の輸入は過去最高を更新した。
 国別でみた貿易赤字額によると、中国が前月比16億ドル(5.3%)増の317億ドルと1位は変わらず、次いでメキシコが7億ドル(13%)増の62億ドル、3位はドイツで3億ドル(5%)減の54億ドル、4位が日本で6億ドル(11%)減の49億ドルだった。

【日銀短観は企業の改善継続示す】
 日銀が3日に発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス12と前回(昨年12月はプラス10)を上回り、2期連続で改善した。非製造業DIはプラス20と前回から2ポイント上昇し、2015年9月調査以来の改善となった。日銀は、輸出が持ち直し、設備投資は緩やかな増加基調にあると説明。一方、先行きは製造業がプラス11、非製造業はプラス16へと悪化する見通し。為替相場が円高に振れていることや、トランプ政権の経済政策の実現性や通商政策の行方、欧州の政治リスクなど不透明さなどが背景にある。また、雇用人員判断DIはマイナス25と、1992年2月調査(マイナス31)以来の大幅なものとなり、人手不足が深刻化していることもあり、企業が慎重ムードを強めてしまうのは仕方がないところ。

【ユーロ圏経済の成長拡大続く】
 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6日、政策変更により一層のインフレ信頼感が必要になるとし、インフレ見通しを変化させるに十分な証拠はそろっておらず、現行の金融政策を変更する理由はないとの認識を示した。現在のフォワードガイダンス(金融政策の先行きを明示する指針)は、今年末とされている資産購入終了から利上げ開始までに相当の期間を置くとしているが、同総裁はフォワードガイダンスの文言に変更を加える必要はないと述べた。ECBは27日に理事会を予定している。
 2月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)は前月比変わらずと、前月(1.1%上昇)から急減速。エネルギーが1.1%低下したことが寄与した。ただし、前年同月比は4.5%上昇と前月(3.9%%上昇)から一段と加速。3月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)改定値は引き続き2011年4月以来の高水準となり、商品価格の上昇やユーロ安を背景に、コストインフレは5年9カ月ぶりの高い伸び。製造業部門の生産と新規受注もほぼ6年ぶりの最高となり、輸出は45カ月連続して上昇し、出荷価格は2011年4月以来の高水準となった。インフレ圧力が一時的なものなのか、今後さらに強まるのかを見極める必要がある。2月のユーロ圏失業率は9.5%と2009年5月以来の低水準となるなど、域内景気の拡大基調が続いており、緩和政策の出口を探るムードは強まっているとみられる。


【NYグランドセントラル駅構内。一見の価値あり。】

【主要経済指標・イベントレビュー】
3日
日銀企業短期経済観測調査(短観)
:大企業製造業は+12
ユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)改定値(3月)
:56.2
ユーロ圏生産者物価指数(PPI、2月)
:前月比変わらず、前年比+4.5%
ユーロ圏失業率(2月)
:9.5%
米ISM製造業景況指数(3月)
:57.2

4日
ユーロ圏小売売上高(2月)
:前月比+0.7%
米貿易収支(2月)
:436億ドルの赤字
米製造業新規受注(2月)
:前月比+1.0%

5日
ユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)改定値(3月)
:56.4
米ADP雇用統計(3月)
:26万3,000人増
米ISM非製造業景況指数(3月)
:55.2

6日
独製造業新規受注(2月)
:前月比+3.4%
ドラギECB総裁
:現在のフォワードガイダンスから離れる理由はない

7日
独鉱工業生産(2月)
:前月比+2.2%
米雇用統計(3月)
:失業率は4.5%、非農業部門雇用者数は9万8,000人増

【4月10日からの週の注目ポイント】
10日
日本貿易収支・経常収支(2月)                ☆☆

11日
英消費者物価指数(CPI、3月)、生産者物価指数(PPI、3月)   ☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(2月)                  ☆☆
独ZEW景況感指数(4月)                   ☆☆

12日
日本機械受注(2月)                     ☆☆
中国CPI、PPI(3月)                     ☆☆
中国貿易収支(3月)                     ☆☆
英雇用統計(3月)                      ☆☆
米財政収支(3月)                      ☆☆

13日
独CPI改定値(3月)                     ☆☆
米PPI(3月)                        ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(4月)          ☆☆

14日
米CPI(3月)                       ☆☆☆
米小売売上高(3月)                    ☆☆☆

*重要度を3段階で表示



2017年4月10日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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