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外為マーケットコラム

底入れ感なく下げリスク残る

 ドル・円相場は14日、一時、1ドル=108.50円と昨年11月半ば以来の水準へ下落。厚い壁となっていた110円を割り込んだ背景には、地政学上のリスクの高まりが挙げられる。米軍は7日にシリアの軍事施設に向けて巡航ミサイルを発射し、アサド政権を後押しするロシアとイランが激しく非難するなど中東情勢は緊迫化し、週末には弾道ミサイル発射など挑発行為を繰り返す北朝鮮へのプレゼンスを高めるために北朝鮮近海に空母を派遣し、北朝鮮情勢の行方も懸念されている。北朝鮮は16日朝方にミサイルを発射したが、直後に爆発し、実験は失敗した。米ホワイトハウスは、「失敗した実験に対抗する必要はない」、としたが、「核実験が行われたら、米国は別の行動を取っていた」、とした。12日にはプーチン大統領も加わって米ロ外相会談が行われ、シリア問題の平和的な解決と北朝鮮の非核化で両国が合意したことが発表されたものの、米ロの関係改善の兆しは全く見えず、先行きの不透明さに変わりはない。
 同日にはトランプ米大統領がドルは強すぎると述べ、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長を敬愛しているが、議長を続けるよう指名するかは決めていないと語り、一時的にドルが大きく下落する場面があった。7日に発表された3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が急減し、賃金インフレの伸びが鈍化するなど、発表される最新の経済指標は力強さを欠くものが目につき始めている。また、米連邦政府の暫定予算案がまとまらない恐れがあり、29日から一部の連邦政府機関が閉鎖されかねない状況にあり、市場の期待が集まる税制改革の議論が始まるのは来月になってから。10年物米国債の利回りは2.3%前後まで低下し、株式相場は高値調整が続いている。仏大統領選第1回目投票を23日に控え、極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が勝利する可能性も引き続き警戒される。
 円に目を移すと、依然としてファンダメンタルズ面からの円買い材料は見受けられず、企業の先行きの景況感の伸び悩みや欧米と比べて見劣りするインフレ、日銀による量的緩和継続姿勢など押し下げ要因しか見当たらないが、目新しさはなく、市場の関心は薄れている。一方、リスク回避の動きから、円は対ユーロや豪ドルなど主要通貨でもほぼ5か月ぶりの水準へ上昇している。ドル・円の戻りは限られるなか、200日移動平均(108.79円)を割り込んだ後も下げ止まらないようだと、昨年安値から高値までの61.8%押し(106円台半ば)や105円前後まで下げてしまうリスクがありそうだ。

【イエレンFRB議長は緩やかな利上げが適切】
 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は10日、ミシガン大学主催のイベントで講演し、米経済は非常に健全で、緩やかなペースで拡大しているとし、緩やかな利上げが適切と述べた。また、経済が過熱して物価高騰を招き、景気後退(リセッション)に陥るのを防ぐため、金利で後手に回りたくはないとの認識を示した。一方、国内総生産(GDP)の低迷は雇用の伸びの高さを考慮すれば驚きとし、生産性の低さが非常に問題と指摘。潜在成長率は恐らく2%を下回っているが、生産性は上向く可能性が強いとの見方を示した。
 ニューヨーク連銀のダドリー総裁など複数の当局者から、年内のバランスシートの縮小を開始する可能性が示唆されているものの、イエレン議長はこの日の講演で言及しなかった。ただし、トランプ米大統領から不信感を抱かれているイエレンFRB議長が再選される可能性は極めてゼロに近く、任期は来年2月までとみられることから、レガシーとしてバランスシートの縮小を開始する可能性は大いにあり得ることだろう。

【2月の経常収支は過去最大の黒字】
 財務省が10日に発表した2月の国際収支状況(速報)によると、貿易収支は1兆768億円の黒字と前年同月比6,733億円(2.7倍)の黒字拡大。1年ぶりの赤字となった前月(8,534億円の赤字)から転じ、市場予想(9,817億円の黒字)を上回った。輸出額の増加が輸入額の増加を上回ったことが寄与し、特に旧正月明けの中国・アジア向けの輸出が増加した。
 輸出は6兆3,339億円と前年同月比12.2%上回り、3カ月連続して増加。商品別でみると、自動車部品(21.8%)、半導体等電子部品(16.8%)、科学光学機器(23.4%)等が増加。主要地域別では、対アジア(23.5%)、中国(28.2%)等が増加した。輸入は5兆5,339億円と1.2%上回り、2カ月連続の増加。商品別では、原粗油(69.9%)、石炭(51.9%)等が増加、衣類・同付属品(26.9%)等が減少。主要地域別では、対中東(46.4%)等が増加、対中国(18.0%)等が減少した。
 一方、2月の経常収支は2兆8,136億円の黒字と前年同月比4,333億円(18.2%)の増加。32カ月連続の黒字で、2月としては過去最大。前月(655億円の黒字)は昨年5月以来となる前年同月を下回り、黒字額は2014年6月以来の低水準だった。

【2月の機械受注は増加も勢い弱く】
 内閣府が12日に発表した2月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標となる船舶・電力を除いた民需の受注額は前月比1.5%増の8,505億円。内訳をみると、製造業が6.0%増、非製造業(船舶・電力を除く)が1.8%増となった。ただし、前月の3.2%減から改善するも、市場予想(2.7%増)を下回り、1−2月平均(8,442億円)も昨年10-12月平均(8,620億円)を2.1%下回っている。1−3月は1.5%増加と昨年10-12月期の0.3%増を上回る見通しとなっているが、3月が大幅に増加しなければ達成は極めて難しい。内閣府は、「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」と説明しているが、内需の弱さが景気拡大の足かせとなりそうだ。

【4月の独企業景況感指数は2015年8月以来の高水準】
 ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が11日に発表した4月の独景況感指数は19.5と、前月の12.8から上昇し、2015年8月以来の高水準となった。市場予想は14.8。現状指数は80.1と前月から2.8ポイント上昇し、2011年7月以降で最高となった。また、ユーロ域内の期待指数は26.3と前月から0.7ポイント上昇し、現況指数は11.5と4.1ポイント上昇し、2008年5月以来の最高水準。ZEWのバンバッハ所長は、独経済は第1四半期に大きく成長し、高い雇用需要が消費を拡大しており、金融市場の専門家らはこのトレンドが続くと予想していると述べた。


【NYセントラルパーク南側から見上げる高層ビル】

【主要経済指標・イベントレビュー】
10日
日本経常収支(2月)
:2兆8,136億円の黒字
日本貿易収支(2月)
:1兆768億円の黒字

11日
英消費者物価指数(CPI、3月)
:前月比+0.4%、前年比+2.3%
ユーロ圏鉱工業生産(2月)
:前月比-0.3%
独ZEW景況感指数(4月)
:19.5

12日
日本機械受注(2月)
:前月比+1.5%
中国CPI(3月)
:前年比+0.9%
生産者物価指数(PPI、3月)
:前年比+7.6%
英失業率(ILO方式)
:4.7%

13日
中国貿易収支(3月)
:239.3億ドルの黒字(1643.4億元の黒字)
独CPI(3月)
:前月比+0.2%
米PPI(3月)
:前月比-0.1%、コアは前月比変わらず
米ミシガン大消費者信頼感指数速報値(4月)
:98.0

14日
米CPI(3月)
:前月比-0.3%、コアは前月比-0.1%
米小売売上高(3月)
:前月比-0.2%、自動車除くは前月比変わらず

【4月17日からの週の注目ポイント】
17日
1−3月期・中国GDP                   ☆☆☆
中国小売売上高、鉱工業生産(3月)             ☆☆
ニューヨーク連銀製造業景気指数(4月)           ☆☆

18日
米住宅着工件数(3月)                   ☆☆
米鉱工業生産(3月)                    ☆☆

19日
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(3月)       ☆☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック)            ☆☆

20日
日本貿易統計(3月)                    ☆☆
独生産者物価指数(PPI、3月)                 
ユーロ圏消費者信頼感速報値(4月)              ☆☆
フィラデルフィア地区連銀製造業景気指数(4月)        ☆☆
米景気先行指数(3月)                    ☆☆

21日
ユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)速報値(4月)       ☆☆
英小売売上高指数(3月)                   ☆☆
米中古住宅販売件数(3月)                  ☆☆

*重要度を3段階で表示



2017年4月17日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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