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外為マーケットコラム

環境改善も上昇余地は限られそう

 ドル・円相場は先月26日、一時、1ドル=111.78円とほぼ4週間ぶりの水準へ上昇。23日の仏大統領選挙第1回目投票で独立系中道候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相が首位となり、5月7日の決選投票でも勝利する可能性が見込まれ、市場のセンチメントが改善している。株式相場や米債利回りがともに上昇し、ユーロなどクロス通貨で円が下げていることや、トランプ政権が連邦法人税を現行の35%から15%へ大幅に引き下げることを含む税制改革案の骨子を発表し、先行きの経済押し上げ効果への期待なども一因。28日に発表された1−3月(第1四半期)・米実質国内総生産(GDP)速報値は前期比0.7%増と昨年第4四半期の2.1%増から急減速し、3年ぶりの低成長となったが、米連邦準備制度理事会(FRB)が物価を測る基準値として注目する個人消費支出(PCE)価格指数は2.4%上昇と同2.0%上昇から加速し、2011年第2四半期以来の高い伸びとなった。今後発表される指標次第では、再び利上げに焦点が集まる可能性が出てきた。
 ドル・円相場を取り巻く環境は上向くも、一段と上昇していけるかどうかは微妙。ムニューシン米財務長官は、上下両院とも税制案の中核的原則に賛同していることを明らかにしたが、財源は成長によって自ずと賄われるとし、規模や財源などの詳細は先送りした。財政規律を求める議会との審議は難航が予想され、たたき台となった今回の提案すべてが実現する可能性は低そうだ。欧米の政治や地政学上のリスクは残り、米景気の回復力に疑問符がつくことなどもあり、目先は110円を挟んでの推移が続くのではないか。

【米住宅市場は活況続くも先行きは不安】
 全米不動産業者協会(NAR)が発表した3月の中古住宅販売件数は前月比4.4%増加の571万戸と、2007年2月(579万戸)以来の高水準となった。市場予想(560万戸)を上回り、前年同月比は5.9%増。一戸建てと集合住宅を合わせた3月の中古住宅平均価格は23万6,400ドルと前年比6.8%上昇し、61カ月連続して前年同月を上回った。3月末時点の在庫は183万戸と前月比5.8%増加したが、前年同月では6.6%減少し、22カ月連続して下回った。また、在庫は販売の3.8カ月分に相当し、前月と変わらず。
 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)・コアロジック/ケース・シラーが25日発表した2月の全米主要20都市の住宅価格指数は前年同月比5.9%上昇と、2014年7月以降で最大の伸びとなった。また、米商務省が同日発表した3月の新築住宅販売件数は前月比5.8%増の62万1,000件と、昨年7月以来の高水準。市場予想(58万4,000件)を上回り、前年同月比は15.6%の大幅増加。新築住宅販売価格の中央値は31万5,100ドル。
 良好な雇用環境、賃金や金融資産の上昇、金利低下などを背景に、中古・新築ともに住宅市場の活況が続いていることが示される一方、販売価格の上昇や供給不足も続いており、買いたくても買えない需給のミスマッチが懸念されている。新課税への思惑から、木材価格は年明け以降、約22%も上昇しており、他の建築資材も値上がりしていることから、一戸建ての建設費は9%まで上昇するとの見通しも出ている。米商務省は25日、カナダ産輸入木材に最大24.12%の相殺関税を課すことを仮決定し、先行きの住宅需要への影響が警戒される。

【ECBは出口戦略を進めそう】
 独Ifo経済研究所が発表した4月の企業景況感指数は、2011年7月以降で最高となった。製造業を除く4部門が前月から上昇し、卸売部門は1991年以来、小売部門は2015年9月以来の高水準となり、建設部門は再び過去最高を更新。4月の独総合購買担当者指数(PMI)速報値はほぼ6年ぶりの高水準となった前月から低下も、2011年第2四半期以降で最高となった第1四半期平均を上回り、同国経済の拡大が続いていることが示された。
 独連邦統計局発表の4月のEU基準の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比2.0%上昇と前月の1.5%上昇から再加速し、欧州中央銀行(ECB)の物価目標2%に達した。また、欧州連合統計局(ユーロスタット)発表の4月の消費者物価指数(HICP)速報値も前年同月比1.9%上昇と前月の1.5%上昇から加速し、4年ぶりの高水準となった2月(2.0%上昇)以来の大幅な伸びとなった。
 ECBのドラギ総裁は27日の理事会終了後の記者会見で、景気の下振れリスクは後退したとする一方、基調インフレは依然として弱いとの認識を示し、現時点では出口戦略についての議論は必要ないと述べた。ただし、最新のユーロ圏の経済指標は改善が目につき、理事会メンバーの多くが6月の理事会で金融緩和策の解除に向けた文言の変更を検討しているとの報が伝えられるなど、流れは量的緩和解除の方向にあるのは間違いなさそうだ。

【日銀は景気判断を上方修正もデフレから抜け出せず】
 日本銀行は26~27日開催の金融政策決定会合で、長期金利をゼロ%程度、短期金利をマイナス0.1%、長期国債買い入れ規模を約80兆円とそれぞれ据え置いた。同時に公表した経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2%の物価目標達成時期を2018年度ごろに据え置き、景気判断を「緩やかな拡大に転じつつある」と上方修正し、2008年3月以来となる「拡大」との表現を加えた。一方、生鮮食品を除くコア消費者物価指数(CPI)見通しは、2017年度が前年比1.4%上昇と前回の1.5%上昇から下方修正され、2018年度は1.7%上昇に据え置き、黒田日銀総裁はインフレは引き続き下振れリスクの方が大きいと述べた。
 28日に発表された3月の全国コアCPIは前年同月比0.2%上昇し、3カ月連続してプラスとなるも、エネルギーを除くは0.1%低下と2013年7月以来のマイナスに転じた。また、先月末に発表された2月の個人消費支出は前年同月比3.8%減と昨年8月(4.6%減)以来の大幅低下となり、将来への不安などから12カ月連続してマイナス。日銀の判断と実体経済動向には大きなかい離があり、デフレから抜け出せない状況が続く可能性がある。


【夕闇迫るNYエンパイヤ―ステイトビル】

【主要経済指標・イベントレビュー】
24日
独Ifo企業景況感指数(4月)
:112.9

25日
ケース・シラー米住宅価格指数(2月)
:前年比+5.9%
米新築住宅販売件数(3月)
:前月比+5.8%の62万1,000件
米消費者信頼感指数(4月)
:120.3

27日
日銀金融政策決定会合
:政策金利-0.10%に据え置く
ECB理事会
:政策金利をゼロ%で据え置く
独CPI速報値(4月)
:前月比変わらず
米耐久財受注(3月)
:前月比+0.7%、輸送用機器除くは前月比-0.2%
米中古住宅販売仮契約指数(3月)
:前月比-0.8%

28日
日本全国CPI(3月)
:前年比+0.2%、コアは前年比+0.2%
東京都区部コアCPI(4月)
:前年比-0.1%
鉱工業生産速報値(3月)
:前月比-2.1%
1−3月期・英GDP速報値
:前期比+0.3%
ユーロ圏HICP速報値(4月):前年比+1.9%
1−3月期・米GDP速報値
:前期比+0.7%
シカゴ購買部協会景気指数(4月)
:58.3
ミシガン大消費者信頼感指数確報値(4月)
:97.0

【5月1日からの週の注目ポイント】
1日
米個人所得・支出(3月)                 ☆☆☆
米ISM製造業景況指数(4月)               ☆☆☆

2日
日銀金融政策決定会合議事録公表              ☆☆☆
ユーロ圏製造業PMI改定値(4月)              ☆☆

3日
1−3月期・ユーロ圏GDP速報値              ☆☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(PPI、3月)             ☆☆
米ADP雇用統計(4月)                  ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(4月)              ☆☆☆
FOMC(2-3日)、政策金利発表                ☆☆☆

4日
ユーロ圏総合PMI改定値(4月)               ☆☆
ユーロ圏小売売上高(3月)                 ☆☆
米貿易収支(3月)                     ☆☆
米製造業新規受注(3月)                  ☆☆

5日
米雇用統計(4月)                    ☆☆☆

*重要度を3段階で表示



2017年5月1日

(みんかぶ/NYのもののふ)

株式会社みんかぶ NYのもののふ(ペンネーム)

担当
商品先物・金融市場
経歴
1994年から商品先物業界で市況作成・アナリスト業務に従事。主に工業品銘柄を担当し、1999年からは投資情報会社のニューヨーク駐在員としてニューヨーク在住。主に市況作成に従事。現在は、原油中心で為替、貴金属、穀物に関する情報も配信。
読み手に容易に理解していただけるような情報配信を目指している。

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