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ドル・円は上昇チャンネル形成、ダブルトボトム完成の可能性も?
今週は、日米欧の経済指標に加え、国有化懸念も強まっている欧米金融機関の動向や米国債への需給動向、さらにバーナンキFRB議長の議会証言が注目され、円・ユーロ、ドルをはじめとする通貨の不美人投票の行方を見極める必要がありそうです。
【資金はより安全を求める】
前週序盤の為替市場では、ドルが買われました。各国経済が悪化するなか、消去法的にドルが選ばれたのです。ユーロは、中東欧の新興国の経済情勢の悪化が欧州系金融機関の財務状況を悪化させるとの懸念が浮上したことで売られ、ポンドは英国の財務状況の悪化で、債務格付けの引き下げが懸念されたことで売られました。そして円については、2008年第4四半期国内総生産(GDP)が前期比年率12.7%減と、欧米の数字をはるかに上回る悪化となったことや、中川財務相辞任などの政局不安が台頭したことで、安全資産としての円への投資意欲が減退したことで売られました。しかし、週末には、シティグループやバンク・オブ・アメリカの国有化懸念が広がったことで米国株が急落し、ドルが全面安の展開となっています。
このように現在の為替市場では、どの国が一番悪く、どの国が一番ましか、という消極的な理由で投資先を選ぶ不美人投票の局面が続いています。世界的な景気悪化や金融不安がくすぶるなか、投資家はより安全資産とみられるところへ資金を動かす動きが強まっているのです。そしてその象徴が金の急上昇でしょう。前週末にはNY金は再び1,000ドルを突破し、過去最高値が視野に入っています。また、金連動型ETF(上場投資信託)の金保有量ではすでに過去最大に達しています。
【長期的なドル安リスクはあるが、しばらくはドル高・円安基調が続くか】
前週の債券市場では、懸念されていた12日からの大量の米国債入札も順調にこなしたことで米国債が買われました。中国の温家宝首相が、「自国の外貨準備の価値を維持することが目標になる」と述べ、米国債の購入継続を示唆したことも、需給懸念を和らげています。今週も2年、5年、7年債の大量の入札が再度実施される予定です。前回と同様に入札が堅調に進むようなら、ドルの堅調地合いは続くでしょう。
ただ今後も続く大量発行の米国債に対し、継続的に買いが続くのかは不透明です。需給は一段と海外投資家に頼らざるを得なくなっている状況で、今後その買い手が途切れたときが、米国にとってもドルにとっても転換点となる可能性があります。
為替市場は相対取引であり、今後も各通貨間での不美人投票が続き、常にターゲットは変化するでしょう。現状では米企業やヘッジファンドの決算に絡むレパトリ(本国への資金回帰)や、積みあがった円ロングのポジション調整もあり、しばらくはドル高・円安基調が続く可能性があります。しかし、今後その需給が反転する時期を見極めることが重要になるでしょう。
【上昇チャンネル形成、ダブルトボトム完成の可能性も?】
ではここでドル・円のチャートを見てみましょう。ドル・円は現在、1月21日安値と2月3日を結ぶ上昇トレンドラインとそのチャンネルラインに沿って上昇しています。そしてこの上昇トレンドラインを維持する限り、上値試しは続くと思われます。上値目標としては11月24日高値の97.41円が挙げられます。また、19日の高値94.46円はこの上昇チャンネルの上限となっており、いったん押し目を形成する可能性があるものの、この高値を上抜け、1月6日の高値94.63円を突破すればダブルボトム(底値圏で出現することで相場の底を示すチャートパターン)が完成します。この場合、上値目標はダブルトップの目標値(ネックラインから安値までの値幅をネックラインの価格に加えた数字)である101円まで引き上げられることになります。
一方で、この上昇チャンネルを下抜ければ地合いは悪化します。1月21日安値から2月19日高値までの38.2%押しの91.66円を割り込めば、半値押しの90.80円や61.8%押しの90円の下値支持線を試し、これらを下抜ければ、全値押しとなる1月12日の安値の87.12円まで急落する可能性があるでしょう。

2009年2月23日
(オーバルネクスト/二見 朱里)
株式会社オーバルネクスト 二見 朱里
- 担当
- 農産物、為替
- 信条
- 日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
- 経歴
- 東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍
オーバルネクストは、国内外の先物取引や為替情報に関する各種のニュースやデータを配信、またこれらの情報に伴うシステム開発を手がけ、現在では国内有数のソフトウエア・ベンダーとしての地位を確立しております。スピードと正確性に富むニュースやデータの配信に加え、オーバルネクスト独自の情報分析を含む各種コンテンツを一般投資家や各種ブローカーの皆様へ幅広く提供しています。
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