ドル売り相場に転換か
今週の注目は、17日に控える米連邦公開市場委員会(FOMC)や底打ちが期待される株式市場の動向です。
前週は、いままでの金融危機への不安相場から一転し、金融市場への楽観的な見方が台頭しました。そのきっかけとなったのが、米銀行の楽観的な業績見通しです。米大手銀行シティグループの最高経営責任者(CEO)は、今年第1四半期業績の黒字化を予想し、JPモルガンCEOも黒字化を予想、さらにバンク・オブ・アメリカCEOは、黒字を示唆した上、「今後、追加の公的資金注入を受けなくても景気後退を乗り切れる」との見方も示しました。これら相次いで発表された米銀行の楽観的な業績見通しを受けて、米金融株への先行き不安感は後退し、米株式市場は急反発する展開となったのです。そして為替市場ではいままでリスク回避の矛先として買われていたドルが売られる展開となりました。
【株の反発でドル安に転換か】
最近の為替市場では、株安でのリスク回避の動きがドル買いにつながっていました。リスク資産を売却し、現金化することによって基軸通貨ドルの需要が高まったためです。このため、今後株式市場が回復基調となれば、今度はドル売り相場に転じる可能性があるでしょう。現在は経済指標に表れているように実体経済は悪化の一途をたどっています。しかし、過度の悲観から、株式の売り残が積み上げられているのも事実です。そして過度の悲観が後退し、この売り残が買い戻されれば、株式市場はベアマーケットラリー(弱気相場の一時的上昇)の局面に入る可能性があります。
また、米証券取引委員会(SEC)は空売りに関する規制「アップティックルール」を再開する可能性を示唆しており、このことが空売りをしていた向きに買い戻しを促す可能性があるでしょう。昨年7月に行われたSECによる空売り規制をきっかけに、株式市場では積み上がった信用売りが買い戻され、株価の反発がみられました。
【FOMCでの長期国債の買い入れ示唆に注目】
さらに17日のFOMCでは、長期国債の買い入れ(量的緩和)を示唆するかが注目されます。量的緩和策をとれば、通貨流通量の増加から金利は低下し、通貨安要因となります。実際、5日には英中銀(BOE)が長期国債の購入に踏み切ったことでポンド安が加速する展開となりました。前回のFOMC声明では、量的緩和が見送られたことで金利が上昇し、ドルが反発しました。今回、量的緩和策をとれば、金利が低下することで、株式市場に資金が向かい、株高・ドル安となる可能性があるでしょう。ただドル・円に関しては、下値は限定的になると思われます。なぜなら、本邦1月経常収支が13年ぶりの赤字に転落したことで、日本も巨額の財政赤字、経常赤字という「双子の赤字」国となってしまったのです。このことから、安全資産としての円の信頼性は薄らいでおり、買われるにも限度があると思われるからです。
【ドルインデックスに注目】
ではここでドルインデックスのチャートを見てみましょう。ドルインデックスとは、米ドルに対する主要6通貨の為替レートをその取引高に応じて加重平均して計算されたものです。具体的には対ユーロが57.6%、対円が13.6%、対ポンドが11.9%、対カナダドルが9.1%、対スウェーデンクローナが4.2%、対スイスフランが3.6%で構成されています。ドルインデックスは、高ければ高いほどドルが強いことを表しています。
このドルインデックスは、世界的な金融危機を背景に、今年の7月以降急上昇していました。そして現在、昨年12月の79を起点とする短期の上昇トレンドラインを割り込んできていることがわかります。よって今後、昨年7月の72を起点とする上昇トレンドラインまで調整局面に転じる可能性があるでしょう。

2009年3月16日
(オーバルネクスト/二見 朱里)
株式会社オーバルネクスト 二見 朱里
- 担当
- 農産物、為替
- 信条
- 日々国際金融情勢を反映しながら動く為替相場に興味を持ち、現在は、得意な数学的なアプローチを中心に、さまざまな角度から分析を試みています。このコラムでは毎週の為替相場を予想する上で重要なポイントを分かりやすくお伝えできるように努力したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
- 経歴
- 東京大学大学院数理科学研究科卒業後、2007年オーバルネクスト入社、情報企画グループに在籍
株式会社オーバルネクスト
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